悲しい事実を知ったエスメハンはじっとうずくまっていればよかった? オスマン帝国外伝シーズン3 65話ハイライト

エスメハンが鏡の前で髪をととのえていると母のシャーがはいってきて

「エスメハン、今日は顔にバラの花が咲いたようね」

というと

「お許しください、いらしたのに気が付きませんでした」

とエスメハンは答えた。エスメハンの黄緑色の衣装もとても素敵だ。エスメハンは淡い色が似合う皇女だった。笑顔もどこか品があって皇女ぽい。 シャーは
「誰のためにこんなにきれいにしているの?」と優しく尋ねた。

「だれも」

とはにかみながら答えるエスメハン。

「心に思ったことがあったなんでも言ってね。もう子供ではないのだから。あることを話す時期が来たわ」
「お伝えすることは何もありません」

と微笑みながら言うエスメハン。

「今日でなくてもいつかご縁があるわ。そしてあなたは結婚するのよ。誰だかも明らかだしね。マルコチョール様と話したわ」

と言った瞬間顔からエスメハンの笑顔が消えた。一瞬に不安と消沈した気持ちが現れた。 そこへ父が来た。エスメハンは授業があるからと言って出ていった。彼はシャーにムスタファが大きな罪を犯しスレイマンがお怒りだと伝えた。

そのあとエスメハンは薄ピンクの衣装でメフメト皇子の部屋を訪れた。この色も素敵!(それに彼女に似合ってる。) エスメハンは

「噂についてお耳にはいったと思います」

と言った。するとメフメトは

「なんのことについていっているのだ?」と尋ねた。

「マルコチョール様と私の関係についてです。とても残念なことですわ。決してそのようなことはありません。ありえませんわ」

と一生懸命いいわけをした。するとメフメトは

「今初めてあなたからきいたよ。マルコチョール様は皇帝の近侍だ。彼のよくないことがあってはならない」

と答えた。エスメハンはガーーーンと金づちで頭をなぐられたような衝撃を受けた。
なんともかわいそうなエスメハン・・・
彼女はメフメト皇子に恋をしていた。その相手が自分のことを何も気にかけていないだけでなく、 マルコチョールの心配をしたのだから、絶望的な気持ちになるのは当たり前だ。
そんな気持ち部屋から出るとたまたまミフリマーフがやってきて、

「エスメハンどうしたの?様子が変よ」

「何でもないわ 」

「メフメトとの間になにがおこったの?あなたをかなしませることをなにかいったの?」

「いいえ、何をいえるというの?」

「彼の言葉に感じたことには目を閉じなければならないわ」とミフリマーフが言った。

「わかったことはメフメトはしらないということよ 」とエスメハン。


「エスメハン、我にかえりなさい。このようなことが不可能だということをしらないの?彼は皇子なのよ、このような関係はありえないわ。勿論あなたもね 決して(ありえない)!」

と言うとエスメハンは部屋から出てきたときよりもより悲しい顔になって去っていた。
ある人が起こったつらい事実や悲しい真実を自分の頭の中だけで考え理解している時よりも、言葉や文字とし自分の頭の中から外に出した時、つらさや悲しさがより強くなる場合がある。
そんな時は外に出さないでじっとうずくまって、そのつらさや悲しみがおさまるのを待つ方が、負の感情を少なく感じられるような気がする。

だからエスメハンはミフリマーフにいうべきではなかった。エスメハンの悲しみはより深まってしまったからだ。
反対にミフリマーフはエスメハンの胸にグサッとくぎを打ち込んだ。そして得意げに絶望したエスメハンを見送ったのだった。 だがその釘は自分の胸にさされ返されることになるのをミフリマーフはこの時知らなかった。
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