オスマン帝国外伝シーズン3 48話 ハイライト 墓でニギャールはシャーに会い復讐を決意する
またニギャールはイブラヒムの墓を訪れた。
なんとも哀れだが、ハティジェのほうがもっと哀れだろう。
ニギャールと違って彼の墓も知らないのだから。
ニギャールは土の下のイブラヒムに向かって
「貴方に怒らなければならないわね。
最初に私はあなたを愛したわ。
貴方も私をハグしてくれたわ。
大きな心を私に開いてくれたわね。
そのあとで私をあなたの心から引き抜き捨てたわ!
私のあなたへの悲しみが足りないかのように、今度は子供のことで痛みをあじあわせたわ」
と涙ぐみながら、
「ほんとなら泣かなければならないわ。
でもそれができないの
どこなの?パシャム
いまどこにいるのかしら?
私と私の娘を置いてどこへ行ってしまったの。
わからないのですか、まだ私の心があなたのために高鳴っているということを・・・
何があっても、まだあなたのことをあいしているのよ」
とやり切れない気持ちを土の中のイブラヒムにぶちまける。彼女はまだ彼を愛していたのだ。そこへ
「ニギャール」
と呼ぶ声がした。誰だろう?
振り向くと、そこに皇女がたっていた。
シャースルタンだった。
「メルジャンがお前のあとをつけていたのよ、
私に誰かの墓にいったよう出るというので、あなたのことがしんぱいになたったの」
ニギャールは無言で立ったままだった。シャーは続けた。
「と言うことは、ここにイブラヒムパシャがうめられたのね。
ちょっと前あなたが言っていたことを聞いたわ。
あなたの心はずたずたなのね」
と言って深いため息をつく。そして
「イブラヒパシャはこの世から去ったけれど、
そこに二人の涙を流す女性を残していったのね。
それともちろん子供たちもね」
とニギャールに心から同情している様子だった。
「本当にあなたの娘がどこにいるのかしらないの?」
「しっていたらここになどいませんわ
そばにつれてきましたわ。
彼女の他に誰がいるというのでしょう?」
とニギャールは答える。シャーはすかさず、
「この痛みをあたえたのは誰かしってるでしょう?」
と聞くと、ニギャールはちからなく頷く。
「その蛇の頭を踏みつぶしたいとおもう?
今まで与えられた悲しみをお返しをしたいとおもう?」
ときくと、ニギャールは
「それを何よりも望んでおりますわ」
と答えた。
ニギャールが完璧にヒュッレムの敵になることを決意した瞬間だった。
「ですが私に何ができるというのでしょう?
ここに今すんでおりませんし、
リュステムともどらなければなりませんから」
と悲しそうに言う。(そうなのだ、もうすぐリュステムはテケに戻る。ヒュッレムの思惑と違って彼は宰相に選ばれなかった)
すると
「明日はどうなるかだれもわからないわ。
ただの数日にできることでもないわ。
忍耐が一番強力な私たちの武器よ。
あなたは私の味方につきなさい。
ただ私の言ったことを実行するだけでじゅうぶんだわ。
あとはわたしにまかせて」
とシャーはいった。
ニギャールは
「私に何をお望みですか」
と質問した。すると、少し微笑んで
「おしえましょう。マルジャンは私の手足よ。彼以外をしんじてはだめよ。
今は彼と共にいきなさい。あとで私もいくわ。今はいのりたいの」
と言った。さてシャーの頭の中にはどんなプランがあるのだろうか?
それからシャーはイブラヒムの墓のそばに座った。すると
というイブラヒムの声が聞こえてきた。
そこでシャーは話しかけた。
「イブラヒム、パルガ生まれのイブラヒム。私は誓うわ。あなたの血はそのままには残らないわ」
とイブラヒムのための復讐を誓うのだった。
どうやらシャーはイブラヒムのことが嫌いではなかったようだ。