オスマン帝国外伝シーズン3 53話ハイライト シャーが自分の家に住んでいるとしったハティジェは

ハティジェはイブラヒムの死後、ヒュッレムを狙い失敗し、皇帝によってマニサに送られて1年が過ぎた。

そのマニサでは

ムスタファがマヒデブランとハティジェのことを話していた。

ハティジェはどうやら具合が悪いようだ。 ムスタファは 部屋にいたイブラヒムの子オスマンとフーリジハンをみながら、

「彼らはイブラヒムパシャからのあずかりものだ」

と言うとマヒデブラン

「必要なことは何でもしているわ。心配しないで」

と答える。 だが二人は子供たちよりもハティジェのことを心配していた。

「ハティジェスルタンは夜中に具合が悪くなったようですね」

と聞く。

「悪夢が続いているの。どんどんわるくなっていくようだわ。まるで痛みが日に日に大きくなっていくようよ。子供たちをもみなくなってしまったわ」

「このような痛みがどうやったら終わるのでしょう？終わるはずもありません。

イブラヒムパシャのおはかさえもないのですから」

とムスタファも悲しそうに言った。 ムスタファはハティジェをよく理解していた。彼女の永遠に消えない傷も・・・

そハティジェのそばには今占い師がいる。何かまじないをしている。そこへ帝都から手紙が届いた。 手紙を読むや否やマヒデブランの元へ急いだ。 そして

「シャーフーバンが私のさらに引っ越したのは本当なの？」

と興奮して聞いた。シャーが自分のサライに住んでいることを知らなかったのだ。

「皇女様どこからそんなはなしが？」

とマヒデブランが質問すると、そばにいたハティジェの娘のフーリジハンが

「お母さまどうしましたか」

と尋ねた。

「何でもないわ」

と言って付き人に子供たちを連れていかせる。 そして

「あなた方はご存知でしたのね」ともう一度確かめた。

「皇女様あなたがお戻りになるまで一時的にそこへ住んでいるだけです」

と言い訳するようにマヒデブランは答えた。

「と言うことは本当なのね」 とハティジェ。

「どなたにおききになったのですか」

とふしんに思いマヒデブランがきくと、

「何の違いがあるの？初めに皇帝がそして今度はシャーフーバンが・・・」


と家族に裏切られたような気がしたハティジェには絶望と激怒の感情が同時に沸き起こってきた。 するとムスタファが

「これがなんだというのですか、このことでつらい思いをしないでください」

と彼女の気持ちを静めようとすると、

「彼女は私をここへ追放し、自分私のサライで快適にすごしているのよ」

と怒り、ハティジェは

「帝都へ戻るわ」

と言い出した。 そして戻る準備を始めた。マヒデブランは心配し

「今戻るのはよろしくありませんわ。せめて皇帝が遠征から戻るまでお待ちください。もしかしたら一緒に帝都にもどれるかもしれませんし」

と引きとめるが、

「私はずっと待っていたわ、サライへ戻るときが来たわ」

と決心は固いようだ。 マヒデブランは止めることができなかった。 ハティジェは

「ムスタファあなたに感謝します。あなたもマヒデブランも私を厚遇してくれたわ」

と別れの挨拶をすると、ムスタファも心から引き留めるが、 ハティジェは

「ここは私のサライではないの。

あの家のかべとかべの間にはイブラヒムと私の多くの思い出が詰まっているのよ。

他のものが住むなんてゆるさないわ。いえゆるせないわ。

イブラヒムが・・・」

とまで言うと

「もう十分です、皇女様」

とムスタファが言葉を遮った。

「口を開けばイブラヒム、なぜわからないのですか、イブラヒムパシャはもういないのです。彼は殺されました。これを受け入れてください」

と少し声を大きくしてハティジェを説得しようとした。

「うけいれろですって？

あなたは受け入れたのね、

いえ彼を忘れたのね、

でも私はわすれないわ」

と出ていこうとすると、 今度は

「私の許可なく出ていくことはなりません」

と命じた。ムスタファはどんな方法でもよいからハティジェを引き留めたかった。心から彼女の行く末を心配していたのだ。 だがハティジェは
「私は元気よ。ただサライにいきたいだけなの。あそこで子供たちを育ていきたいのよ。
自分の家でね。少なくとも、この権利はあるわ。そうでしょう？」

と言った。

確かにハティジェの言うとおりだった。

でもハティジェは全快してはいないし、イスタンブルに戻ればまたヒュッレムのとの争いに巻き込まれ、より健康を害するだろう。

彼女と彼女の子供たちのためにはマニサでゆっくり過ごしたほうが良いと思うのだが・・・