ついにアナトリア中央部のコンヤ平原で戦いが始まった白馬にのって先頭切ってに挑むバヤジト。 バヤジトはセリムにちかづいていった。セリム側にはソコルルとララの姿も見えた。 戦況はバヤジト側が優勢のように見えた。バヤジトは強い。アトマジャも強い、こうしてもう少しと言うところまでバヤジトはセリムを追い詰めた。 セリムはついに剣を抜いた。 そこへオスマン朝の将来を決めたセリムの背後から矢が一本飛んできた。それはバヤジトに命中した。 矢を放ったのはセリムの子もムラトだった。その昔弓矢の使い方をバヤジトが教えたあのムラトだった。バヤジトは「ムラトがムスタファ皇子に似ている」とセリムが言っていたといった時のことを、矢にうたれながら思い出していた。 ムラトの嫁が「続オスマン帝国外伝 キョセム」に出てくるサフィイェの夫だ。そしてムラトの孫がアフメト1世でキョセムの夫となる。 この一本の矢によって戦況は大きく変わった。バヤジトはその後何度もきられた。最後のとどめの一振りがまさに振り下ろされそうになった時、斧が飛んできたそれはアトマジャの斧だった。その後アトマジャが必死になって、倒れそうになった彼を抱き止め、ひきずりかかえながら後方へ運んだ。バヤジトは倒れるときヒュッレムの声をきいた。「息子よ、生き残るのよ!」と彼女は言った。