娘の病気のために礼拝に参加しなかったイブラヒムを誹謗する民衆 オスマン帝国外伝シーズン3 40話ハイライト
今オスマン帝国はラマザンの時期だ。スレイマンは皇子たちと連れ立って、夜アヤソフィアモスクへ礼拝に出かけた。
イブラヒム・パシャも行く準備をしていた。
マトラークチュは最近の出来事を心配して、イブラヒムに尋ねると、イブラヒムは
「あまり皇帝と話すことができないので、何をお考えになっているかわかることができない」
と答えた。
そこへ「ゼフラさんが知らせてきました。お嬢さんが病気でだそうです」
と付き人が言いに来た。
イブラヒムはマトラークチュに
「モスクで会おう娘を見ていきたいから」と言い急いで出ていく。
シーンが変わって、 ここはモスクの前、みんなが
「パーディシャーフ チョク ヤシャ」(皇帝様に栄えあれ) と口々に言い、皇帝を讃えていた。
そして礼拝が始まる。
あるものが「パシャ様は礼拝に来なかったな」と言う。
「信仰がないのに、礼拝へどうやってくるというのだ」と別の者が言うともう一人が、
「今日シェムセッディーン様が彼に聖なる書をおくったそうですが、パシャは受け取らなかったのとのことだ」
「聖なる書を拒否し、庭で偶像を崇拝しているのだ」
とまた他のものが言う。
こうして礼拝に参加しなかったということだけで、イブラヒムの悪いうわさが広まっていった。
礼拝が終わってスレイマン皇帝たちが出てくる。
皆は入るときとは全く逆に、イブラヒムについて悪口を大声で叫び始めた。
(悪口と言うかなぜ礼拝に来なかったかと言っているのだ)
スレイマンとマラークチュの顔が曇る。そしてリュステムはその様子を見てほくそ笑んだ。
何かを信じるとか、何かに信念を持つとかまたはそれに基づいて行われる礼拝や行動は本来個人の内部の問題だ。なのに当時の人々は礼拝に来なかったイブラヒムをすごく批判した。
当時は、礼拝は個人的なものではなく、集団に自分の立場をアピールすることとしても機能していた。
特にイブラヒムパシャはカプクルの出身だったので何もなくても彼への風当たりも強かった。
これは偏見以外の何物でもない。事実はイブラヒムは娘の病気のために行くことができなかっただけなのに・・・
かわいそうなイブラヒム・・・
当時も今も人は外見的な行動ですべてをわかったような気がするのかもしれない。