オスマン帝国外伝シーズン4  79話 E134後編  ヒュッレムの最期

ヒュッレムはセリムの子の母のヌルバーヌが一緒に来ていたので、ヒュッレムはすぐ彼女を呼びつける。

スンビュルはヒュッレムにさかわらないように厳しく忠告する。

ヌルバーヌは部屋に入ってくる。

「セリムを悲しませようにという理由であなたがまだ生きているのよ。だがあなたは・・・」

とヒュッレムは話し出すと、 ヌールバーヌーは

「私をあなたが選んだのです。
私がしたことはすべてセリムと子供たちを守るためです。
セリムを愛するがゆえの行動です。
あなたはいつも道に明かりをともしてくれました。
ですが私とあなたと大きな違いがあります。
あなたがスレイマン大帝の心を手に入れたときはすでにスレイマン大帝が皇位についてからだいぶたっていたのです。
いつかこの宮殿は私の家になることでしょう。
いつかこの部屋で私が生活するでしょう。
あなたもよくご存知でしょう?
時代は変わり私の時代が始まるのです」

というとヒュッレムは立ち上がりヌールバーヌーに近づく。

「それが目的なのね。
ならばどうぞ、だが燃え散ることを覚悟しておくことね」

というと、

「準備はできています、スルタン様」

と答え出ていく。

「彼女は死ぬでしょう」
とヒュッレムは言い、ファーリエに彼女の命を取るように命じる。

スレイマニイェ・モスクがついに完成し、初めての礼拝が今週の金曜日に行われるという知らせが民衆に響き渡る。

同時にヒュッレムの作ったワクフで食事がもふるまわれるとのことだった。彼らの習慣では何か行事があると人々に食事をふるまうことが良いこととされている。

そして金曜日スレイマンたちは新しく完成したもモスクに向かう。
そこではミーマルシナンが待っていた。ミーマルシナンはモスクのカギをスレイマンに渡そうとすると、スレイマンは

「これはあなたにふさわしい」

と言ってカギをミーマル・シナンに開けさせようとすると、

ミーマルは

「このジャーミを作るために視力を失ったものの手で開けさせたいのですが」

と申しでる。スレイマンはOKする。わあミーマルシナンってすごいなあ。

扉はその眼を痛めたものの手によって開かれた。
モスクはこんな感じです。
モスクをみながらスレイマンは

「ここは私の心だ」

というと

「もしそうなら私をここに埋めてください」

と頼むヒュッレム。
 ヒュッレムは確かにこのスレイマニイェモスクに今も眠っている。 

夜中ヒュッレムは目覚める。
バルコニーに出て一人遠くを見つめる。
すると火の鳥がこちらへやってくる。
それをみたヒュッレムは気絶してしまう。
気が付くとスレイマンの腕の中だった。
そして

「もう死は怖くないわ。準備ができたわ。ただ私の愛する者たちと一緒にいたいわ」

とスレイマンに話しかける。
こうして宮殿の庭で食事が用意され子供たちと孫たちが集まりヒュッレムはグリーンを基調とした衣装と冠と初めてスレイマンにプレゼントしてもらったグリーンの指輪を身に着け、楽しいひと時をすごす。

ミフリマーフには

「これから家族はあなたがまもるのよ、強くならなければならないわ」

といい、

「勇敢になれ」

とセリムに

「慈悲深くあれ何があっても生き延びるように」

とバヤジトに遺言する。
そして

「私の死の色は青。
17歳で奴隷になった。
一人ぼっちのアレキサンドラ!
苦しみは海に投げ捨てた。
復讐の民に燃えていた心が愛のために燃えると誰が知っていただろう?」

そう言ってみんなが笑うのを見ながらヒュッレムは昔のことを思い出す。

そして宴が終わり部屋に戻ろうとするが、もはや一人で歩く力は彼女には残されていなかった。
スレイマンに支えながら部屋に戻ろうとするヒュッレム。

だが彼女は部屋までたどり着くことはできなかった。

担がれてベッドによこたわると彼女は

「私は逝きます。目をそらさないで。私の手を離さないで、あなたが以前の書いた詩を聞きたいわ」

とスレイマンに頼む。

その愛の詩を詠むスレイマンの声を聴きながらヒュッレムは安らかにこの世を去った。

だがその瞬間、宮殿の時間は止まってしまった。
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