オスマン帝国外伝シーズン4 77話 E134前編

スレイマンとヒュッレムは船に乗っている。
どこかの港を目指しているのだ。
向こうには見慣れた土地が見えてくる。ヒュッレムはそれをいとおしそうに眺める。

一方スレイマンは嬉しそうではなく物憂げに下を向く。
彼らはイスタンブルへ船でやってきた。

「何十年も前この土地に来た時私は『地獄に来たんだわ』と思いましたが、ここは私の家だったのですね」

とヒュッレムは感慨深げにイスタンブルの沿岸を見てスレイマンに話しかける。
スレイマンは無言でヒュッレムを抱きしめる。
のこり少ない時間をかみしめるように・・・

ミフリマーフやリュステム達が2人を出迎える。
ヒュッレムはようやく部屋につくと中にはスンビュルが待っていた。
ヒュッレムは

「スンビュル」

と声をかけ嬉しそうに笑うと

「ようこそ、いらっしゃいました」

とスンビュルも嬉しそうにヒュッレムに駆け寄る。

「あなたにあえてうれしいわ」

という。
するとスンビュルとのわだかまりは一気に吹っ飛んだ。
それはそうだ。スンビュルにとってヒュッレムにつかえることが彼の喜びの源泉であり、彼の半生の目的だったから。
彼女が奴隷としてサライに来て以来ずっと一緒だったのはスンビュルなのだから・・・ヒュッレムにとってもスンビュルはなくてはならない存在だった。
ヒュッレムが

「もう希望がなく助からない」

と沈んでいると彼は彼女を励ました。スンビュルはヒュッレムのことをよく知っているので、ヒュッレムの気がしゃんとするようなことをちゃんといえるからすごい。

そこへミフリマーフがヒュッレムの病気のことを知り駆け付ける。そしてミフリマーフはスンビュルに

「どうしたらいいの」

と悲しみをぶちまける。スンビュルは

「祈る以外に方法がありません。でも家族のみんなが集まり子供たちや孫たちと共に過ごせば彼女はよくなるかもしれません」

といってミフリマーフを励ます。

スンビュルはミフリマーフにとってもヒュッレムにとってとても重要な存在だ。彼はみんなを慰めることができるのだ。

一方スレイマンは手紙をチェックをしている。皇子たちをイスタンブルに招く手紙だった。 命が短いヒュッレムのために子供たちを呼びよせたのだ。

キュタフヤではデフネのお産が始まった。バヤズィトの娘アイシェとデフネの妹は出船のいる部屋のドアの前で待っていた。

2人はお産の後にデフネがいなくなることを知り、兄弟が生まれてくることに喜びはあるけれども、デフネが消えることを悲しんでいた。

デフネはほんとに罰を受けるんだろうか?

無事お産は済んだが早産のため赤ちゃんは小さかった。
デフネは

「罰を受ける前に一度だけ、あかちゃんを抱かせてください」

とバヤジトに頼むと、少し思案した結果彼はそれを許した。

セリムのこともデフネのこともそうだが、彼のやさしさが彼にとっては命取りになるのだった。

セリムの話を聞いたヌールバーヌーはマニサに駆け付けセリムと仲直りする。
全くヌルバーヌは何でも自分のために利用する頭の回る女性だ。
セリムの最悪の状態を利用して、彼女はサライに戻った。

ヒュッレムはブルサでマヒデブランにあったことを話す。
そう、マヒデブランと許しあったことを話したのだ。

スンビュルは驚くが、さらにおどろくあることを、ヒュッレムはスンビュルに頼む。

その頼みとは亡くなったイブラヒムパシャのお墓を見つけることだった。

なぜなのか?
死を迎えるにあたって、マヒデブランと和解した後、ヒュッレムにとってのただ一つの心残りはイブラヒムだったようだ。

ミフリマーフはリュステムが家に帰ってこないことを心配し始める。
リュステムはユダヤ人の商人の元をしばしば訪れていた。リュステムは商人に話しかけられるが、彼の心ここにあらず、彼は何かを思案中だった。

「ミフリマーフのことを考えているのですか」

と問うとリュステムは

「いやヒュッレムスルタンのことだ」

と答えヒュッレムのすばらしさ延々と商人に語る。商人は思った。もしかししたらこの人はヒュッレムを慕っていたのではないかと・・・

スレイマンはヒュッレムを夕食に呼び、楽しいひと時を過ごす。
まだこの世に来る前、魂だった時のことを話し2人がこの世探し求めあう運命だったことをヒュッレムにやさしく語る。

スンビュルはようやくイブラヒムのお墓を見つけた。マトラークチュの召使を探しだし彼からようやく聞き出したのだ。

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