【トルコ小説】「心の園にてメヴラーナ」その15 【良いメヴレヴィ―とは】


博物館、墓、そしてメヴレヴイーについての知識6
忠俊は、自分自身に向かって、私にとって重要と思われる質問をしたなら、彼の集中力を乱してしまうだろうかと躊躇いながらも、「すみません。あなたがお話 してくださってことはとてもすばらしいです、大変感謝しています。本来、私が知りたかったことなのですが、良いメヴレヴィーとはなんですか。何について注 意しなければいけませんか。これらのことについて、もう少しお話していただけませんか」

「もちろん、よろこんで、忠俊さん」といってガイドは再び話を続けた。

「メ ヴレヴィーの基本中の基本は、一般に12の項目に集約できます。

1、人々に奉仕すること。

2、他人に対していつでも丁寧に美しく振舞うよう手本になるこ と。

3、『メスネヴィー』を読み修行者として身を捧げること。

4、知性を上手に使うこと、英知を備えること。

5、敬虔であること。

6、心の中をいつも清ら かに保つこと。

7、メヴラーナを指導者とすること。

8、メヴラーナの道から外れないこと。

9、アッラー、聖ムハンマドの後、メヴラーナに結びつき、彼を心 から信じること。

10、知識を得て、知識人となること。

11、謙虚で忍耐強く笑顔でやさしくふるまうこと。

12、物質的にも、精神的にも清浄であること。

これらはメヴレヴィーの不変の規則です。メヴレヴィーのタリーカの門をくぐる者、修行を終えたものたちはみな、これに従わなければなりません」

「メヴレヴィーのきまりは、大変気高くで、美しいですね。大変感嘆しました」

「メヴレヴィーであることは、イスラームの教えとアッラーヘの熱愛の表れでもあります、忠俊さん」

「よくわかりました。メーセージもよく伝わりました。私も、もっとよく調べなければなりません」

忠俊が、希望の光を見出したと知ると、ガイドの喜びもひとしおであった。

「あなたにも称讃がふさわしいです。あなたを誇りに思います」

「私たちが見たセマーの儀式は、やり方はひとつだけですか?それとも他にも違った形がありますか」

「いつも同じですか、それともいろいろな形がありますか、とお尋ねですね」

「はいそうです。そのことを質問しています」

「このような質問は初めてです。ほとんどの人は思いつかないでしょう。実は以前私もあなたのような考えが浮かび、調べてみました。お話しましょう」

「メ ヴレヴィーに「アイン・ジェミー・メヴレヴィー」といわれる儀式がありました。夜によく、語り合いの形で行われたこの儀式はデデたちの他、タリーカに入っ たメヴラーナを愛する者たちも参加していました。この儀式はメイダンジュ・デデが取り仕切っていました。扉のそばに、シェイフの赤い敷物を敷きます。その 後ほかの敷物も順々に並べられます。18の蝋燭立てが9ずつ2列に並べられます。就寝前にする礼拝をした後、メイダンジュ・デデが儀式へ招待する呼びかけ をします。そして式は始まります。葦笛が奏でられセマーが始まります。後に、修行場と関連施設が閉鎖される法律が出され、この集いは終結しました。しか し、メヴレヴィーの保護下に支部の形で残されました」

 観光バスは休憩のために止まった。運転手の、「休憩です」という言葉で、ガイドを取りまく喜びに満ちた単独の話も中断された。ガイドは、その場から立ち上がり、旅行者たちに運転手の言葉を訳して伝えた。何人かはそのまま眠り続けていたが、他の何人かはバスから降りた。

 

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