オスマン帝国外伝シーズン4あらすじ 92後半 エピソード139の3 ミフリマーフ対マヒデブラン 

祭りを終え、子供たちが去った後スレイマンは部屋に入りながら

「権力とはただこの世の争いをいみするのだ」

と感じた。
同時にとてつもないむなしさに襲われた。

少し歩けるようになったスレイマンは久々に市場に出かかる。
杖を突きながら歩いていくとリンゴを売るものに出会う。
リンゴを進められリンゴを買うことにする。
そして

「けいきはどうかね」

とスレイマンが尋ねると、リンゴ売りは

「イェニチェリは貧乏になった。食べるのにも苦しい、借金をする者もふえた」

という。
さらに

「われわれには統治者はいないから、いれば遠征に行けるのに」

とつけ食われる。そして別の者が

「それだけでは足りないかのように酒場も禁止した。私たちが夜に飲み歩くのを干渉する前に、自分のことをきにかけろ。」

「スレイマン大帝は私たちをからかっているんだ。
顔が輝やいていた皇子ムスタファと勇敢なバヤジトを手にかけ、オスマン帝国を酒飲みの手にのこしたからな」
とか言いたい放題だった。フェルハトは
「皇帝をなぜぶじょくするんだ。」

と言うと

「みんなはなしているのはこのことだ」

とほかの者も言い出す。
「遠征はともかく礼拝にもたてないそうだ」

「おとこじゃなくなった」

と言われるとスレイマンは我慢できずその男の襟をつかみ

「スレイマンがどれだけ戦い勝利を治めたのかお前は知っているのか」

と怒鳴りだす。フェルハトは彼を止める。
怒り狂いスレイマンは宮殿へもどっていた。
そんなスレイマンの姿を見たものがいた。マヒデブランだった。

「スルタンスレイマン!神はこのような日をお現わしになるのね。
よくみて、これが世界の統治者の行く末よ、
冠も、玉座も、そして権力もない・・・残ったのはただ子供殺しの父親の姿よ。」

と彼女は言う。

キュタフヤでは
セリムはバヤジトの死に際の言葉を思い出し、苦しみを消すために酒におぼれていた。

一方ヌールバーヌーはムラトの子を身ごもったサフィイェを追い出そうと必死だった。
付き人は
「ムラト皇子の愛を獲得した今彼女を引き離すのは難しい」

と答えると、ヌールバーヌーは気落ちしながらもセリムを訪ねる。

「こんなにお酒を飲んでどうするのですか?自分のことを考えられないのなら、私たちのことを考えてください、子供たちのことを考えて」

とヌールバーヌーはきつく言う。

「皇帝であり私の父は、ここへなぜ送ったか知っている。
罰するためだ。
苦しめさせるためだ。
ここはもともとバヤジトの宮殿だった。
彼はこの扉から入った。
ここに座って、ここで子供たちをいつくしんだ。
この扉は彼の影だ。」

とセリムは言ってまた酒を飲む。

(そういえばバヤジトの子供たちはここキュタフヤで全員生まれている。バヤジトの思い出があちらこちらに詰まっている場所だった。)

彼女は

「皇帝はバヤジトがあなたに殺されたことを知らないわ、バヤジトが逃げ出したので殺されたという知らせが届いたはずよ。なぜ復讐しようとおもうの?」
という。

「ご存じだ。皇帝は知っている。私の罪も罰もすべて知っている。」

とセリムが答える。

「何年も過ぎたわ、セリム、あなたはやらなければならないことをしたのよ。
彼が死ななければあなたが死ぬところだったわ。
私たちは無益にたたかったの?
こんな風に隅っこにたたずんで、うずくまるためにだったの。どうなるのをまっていたの?」

と彼女は言い立ち上がる。でもセリムは悲しみから抜け出さない。

イスタンブルでは故マトラークチュが描いた「スレイマン ナーメ」が届いた。

スレイマンはそれをみながら昔のことを思い出す。

あれ?するとどこからともなくヴァイオリンの調べが聞こえてくる。
スレイマンは立ち上がり音につられてバルコニーに出ていく。
そこにはイブラヒムと一緒にローマ征服を夢見た若かりし頃の二人の姿があった。
思えばあの時がスレイマンたちは一番輝いていたのかもしれない。

ミフリマーフとスンビュル宮廷の庭を歩いていると女性たちが歩いている。
スンビュルが彼女たちを追い出そうとするとミフリマーフが

「待って」と止める。

「マヒデブラン スルタン」

と驚くミフリマーフ。彼女はマヒデブランだった。

「ミフリマーフ 時があなたからいろんなものを持ち去ったようね。
その美しい顔に痛みと悲しみがあふれでているわ。
人の心がどんなに痛むかあなたも学んだようね」

と言った。
「とてもつらい日々を過ごしました。母を失いリュステムを失いそして弟たちを失いました。」

「私たち2人が知っているように、あなたの心を痛めつけているのはバヤジトでしょう。
バヤジト… 
めに入れてもいたくないほどあなたは彼をかわいがっていたわ。」

「その通りですわ。もっとも大きな痛みでした。」

「人は心の痛みを、自分が味わった時に同じように感じられると言わるけれど、そのとおりでしょう?

あなたも無実なものを失ったのですね。

今はお互いに分かり合えますね。

この世界に正義があったならよいのにと思うでしょう?ミフリマーフ。

そうすれば皇帝の座はセリムの手には入らなかったでしょう」

とマヒデブランは言った。

するとミフリマーフは
「これがうんめいだったのでしょう」とつぶやいた。

「運命?
でも神は人間に知性をお与えになったわ。
そして選択する権利も授けたわ。
私たちを襲った困難すべてに一つだけで説明がつくわ。
あなたのお父さん、スルタン・スレイマンよ、私たちみんなが彼が選んだ道を生きなかったかしら?・・・

ところでだれにも愛されなかったセリム皇子が私に手紙を書いたわ。
彼が玉座についた日に私に給付金をあたえるそうよ。
なんて馬鹿げたことでしょう。
父親の罪を子供がつぐなうなんて」 

「あなたの状態をあわれにおもったからでしょう? 」

「弟に慈悲をかけないものが私に慈悲をかけるとでもいうの?」

「あなたの父親を市場で見かけたわ。哀れな姿だったわ。神はこのように罰をお与えになったのね。」

と言うとミフリマーフは耐えられなくなり、

「あなたが惨めなのよ。
すぐこのサライから出て行ってください。そして二度とこないで」

と言いミフリマーフは去っていく。

「かつてここはあなたの家でした。
今はもう門からもはいれないのですね」

と残されたマヒデブランに付き人のフィダンはつぶやいた。

スレイマンは会議で遠征の準備をするように命じる。

「良い知らせを持ってきます」

とソコルルが言うと

「自分が行くつもりだ」

とスレイマンは表明するが部下たちは戸惑う。

会議が終わると

「申し上げにくいのですが、皇帝の足はかなり良くありません。もし彼が参加すれば戦いも統治者も失うかもしれません。なぜ行く必要があるのですか」

と宰相の一人が言う。

「皇帝は自分の権力があることを示したいのです。けれども彼の健康がそれを許すかどうかわかりません」

とソコルルは答える。

もちろん医者も遠征は許可できないという。

「もし宮殿から離れるなら、もう戻ってこれないでしょう」

と医者は忠告するが、スレイマンは断固忠告を受け入れなかった。

最後の頼みの綱はミフリマーフだった。
皆はミフリマーフがスレイマンの決心を変えることができるかもしれないと思った。
ミフリマーフはむずかしいと感じたが、ダメ押しでスレイマンに会いに行く。

ミフリマーフはいかないようにお願いするがスレイマンは

「私が今までしたことはすべて民たちの幸せとこの偉大なる国の益を思ってのことだった。今回の遠征もそうだ。
敵は待ってくれないのだ。
兵士の前に立たなければならない」 という。

ミフリマーフが

「パシャたちが先に行き後から参戦するのはいかがですか」

とアドバイスするが、

「いやだめだ、今回は違う、これは私の最後の遠征になるだろう」

と答える。

それでも
「母ヒュッレムがあなたを私に託しました。
あなたを行かせたらあの世で彼女に何といえばいいのでしょう」

と ミフリマーフは必死で頼む。

「あなたの母がこの遠征に参加することの反対するとなぜ思ったのか?
もし彼女が生きていたなら、彼女は私が感じたこと、考えたことをわかっただろう。
そして遠征に参加することに賛成しただろう」

といいながら、以前ヒュッレムと死について話したことをスレイマンは思い出していた。

ヒュッレムが

「あなたは死なない」

というと

「死なないものなどない」

とスレイマンは答えた。するとヒュッレムは

「もしあなたたが今日亡くなったとしても、あなたの栄光を人々はたたえるでしょう。
それはあなたが死なないということです。
あなたはこうして永遠にいきつづけるわ」

と言ったのだった。

そうなのだ、彼は目の前の物理的な死よりも、人々の心の中で永遠の生きることを望んだのだ。スレイマンの決意は固かった。

ミフリマーフはスレイマンの気持ちを変えることができないと知り涙を流すが、スレイマンは

「笑って送り出してくれ」

とミフリマーフにやさしく語り掛けた。

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