書籍感想 【『まぐれ』(タレブ著)と『根拠なき熱狂』(シラー著)

「まぐれ」はおもしろい!
1週週間前に読んだ「まぐれ」の本では「ランダムによるごまかし」を語っていた。
人々の成功あるいは失敗が偶然によるものなのか、必然によるものなのかをいろんな例を挙げて説明していた。
著者はトレーダーで彼のじいちゃんとひいじいちゃんはレバノンの副首相だった。レバノンの動乱の前後で人生がガラッと変わった経験の持ち主。

語り口がとにかく面白い!
自由に言いたいことを言っているのに、なぜか頷いてしまう。翻訳も素晴らしい!彼の人柄や語り口が珍しく翻訳されているのに伝わってくるのだ。


根拠なき熱狂」(シラー著)を読みました。
こちらもメチャ面白かったです。「まぐれ」の著者は好きかって書いてるのに、人々を引き付けるなんつーかわけのわからない魅力が文体にありました。
一方『バブルの物語』と『根拠なき熱狂』2冊は普通の文体ですが、内容が本質をついていたので面白かったです。
シラーさんはかなりデータを分析した結果、意見を述べているので信憑性があるように見えましたが、実際にはほんとにそうかどうかはわかりませんね。
なんせデータは見せ方で全く正反対の結論を引き出すこともできるようですから。とにかくデータや統計は他の方が言っているのをうのみにするとえらいことになります。

バブルへの対策の中で、彼はマクロ市場を創設し(発案した「マクロ証券」などによって)、リスクヘッジに対する常識を変えるよう提唱してます。
人々が専門家の知識に大きな影響を受けるという特質を踏まえ、その種の多くの専門家たちがリスクヘッジが大切であることをみんなに繰り返し伝ることで、人々に投資の多角化を進めさせるという方法を提示しています。

本文引用
「結局のところ自由社会においては人々が自ら犯す失敗の結果から彼らを保護することはできない。完璧に保護しようとすれば、彼らの自己実現の可能性を否定することになってしまう。根拠なき熱狂は不合理な悲観主義のもたらす影響から彼らを完全に守ることはできない。こうした感情的な反応はそれ自体、人間が人間である条件の一部なのだから・・・」
本文引用(彼の結論)
「投機バブルに対処する国家的政策の主眼は、もぅぱら自由な取引を推進し、人々がより多様で自由度の高い市場に投資するチャンスを拡大するのに置くべきだ。よい結果を得るには、より優れた形式の社会保障システムを設計し、実際のリスクをもっと効果的に管理できる優れた金融システムを造り出す必要がある」

シラーさんの言う通りの優れたシステムを構築できたとしても、人が根拠なき熱狂から抜け出さない限り、どんなシステムからも人が益を受けることはできないと思う。
人が人である限りバルブから完全に解放されることはない。

まぐれの目次を追記しますね。
目次を見てもわかるように内容が盛りだくさんで、間違いなく楽しめる本だ中央値の問題では患者さんの助かる確率を医者はかなり間違えて伝えていることがよくわかる。

目次
第一部 ソロンの戒め
第1章
そんなに金持ちなら頭が悪いのはどうしてだ
ネロ・チューリップ
雷の一撃
ハイイールド債トレーダーのジョン
真っ赤に燃える夏
あなたのかかりつけの歯医者はお金持ちだ、ものすごくお金持ちだ

第2章
奇妙な会計法
違った歴史
同僚とは仲良く
ジョージ・ウィルはソロンじゃない

第3章
歴史を数学的に考える
屋根裏部屋での楽しみ
パームパイロットで蒸留された考え

第4章
たまたま、ナンセンス、理系のインテリ
ランダム性と動詞
モンタカルロの詩

第5章不適者生存の法則 真かは偶然に騙されるか?
新興市場の魔術師カルロス
ハイイールド債トレーダー ジョン
市場に巣くう、たまたまなのにその気にある連中の特徴を概観する
素朴な進化論

第6章
歪みと非対称性
中央値は語らない  (これは病気の方にはぜひ読んでいただきたいところです、生きる勇気が湧いてきます)
牛熊動物学
ほとんどみんなが並み以上
まれな事象に関する誤解

第7章
帰納の問題
ベーコンからヒュームへ
カール今日の広報担当
ありがとうソロン

第2部 タイプの前に座ったサル
第8章
あるいは隣の億万長者でいっぱいの世界
失敗してきずつくのをやめるには
2重生存バイアス
カリスマのおことば
第9章
卵を焼くより売り買いするほうが簡単
数字に騙されて
人生は偶然の出会いでいっぱい
相対的な道
結論はない

第10章 敗者総取りの法則
砂山の雪崩現象
現実世界の裏表と数学
降れば砂降り

第11章
偶然と脳 確率をわかるのに不自由
パリ?それともバハマ?
構造上の問題
哲学をやっている役人には気をつけろ
単なる不完全ではなく欠陥ここぞというときにナポレオンはどこへ行った?
最初のデートで結婚しないのはなぜか?
確率とマスコミ
第三部 耳には蝋を (蝋はロウってよむらしい)

第12章
ギャンブラーのゲン担ぎと箱の中のハト

第13章
カルネダデス、ローマへきたる 確率論と懐疑主義
ノルポア侯爵の意見
考える代わりに計算する
墓場から墓場へ
第14章
バッカスがアントニウスを見捨てる
rピローッグ
ソロンの言う通り
ロンドンの渋滞には気をつけろ
あとがき
シャワーを浴びながら振り返る
・・・が逆転する
偶然のメリットをもういくつか
一本足で立つ
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