
チャイ友のメンバー ハナー・シン・明菜・優さんがみんなで楽しくチャイを飲んでいる。銀のスプーンでチャイをゆっくりかき回しながらハナーが口を開いた。

ヒュッレムはエピソード93話後半で女官たちに給与を払えなくなってしまったわね 。

ほんとにどこの社会でも給与がもらえないとみん不平をいいだすんだな

それはそうよ、

ヒュッレムはただ権力を地位奪取のためにだけ使っていたのではないのじゃな。しっかりハレムの運営にも力を注いでいたのじゃよ。

そうですね、どんな組織でも管理運営するのはとても大変なことです。

うん、女官の給料も自分の私有財産から工面したりしてるしね。

ハレムの女官てどのくらいお給料もらっていたんでしょうね?

丸の内の女性たちよりも多かったのでは?

そうねえ、きになるわね

ハレムと言う組織は縦社会で階級がはっきりしている社会じゃね。

そうなの?

例えばヴァーリデ・スルタン、 ハセキ、 ハスオダルク、オダルク、 アジェミーとかドラマで聞いたことあるかな?

ヴァーリデはお母さん?

そうそう、よくハティジェがヴァーリデムってよぶよね。

最後にムって音が聞こえるみたいだけど?

あったり!明菜ちゃん。

それは
私のっていう意味じゃよ、
わたしのおかあさんって言ってるんじゃ、

16世紀にはスルタンの給料は普通の人のそれの約1500倍から3000倍だったらしいですねえ

えええそんなに違ったの?

いくらぐらい?

約1000アクチェ~3000アクチェぐらいかな?

あくちぇ?

オスマン朝2代目オルハンベイ以前の時代までは
ディルハム銀貨が使われていたのじゃよ。1327年にオルハンベイがオスマン朝初の貨幣
アクチェ銀貨を発行したんじゃよ。

そうなんだ、アクチェと言う銀貨で給料をもらっていたのね。
ハナーは手に持っている銀のスプーンを眺めながらこれは何アクチェぐらいするんだろうとふと思った。

はいそうです。兵士やホジャや役人たちの給与は銀貨(アクチェ)で支払われていたです。

ディルハム銀貨と何が違うの?

ウマイヤ朝のカリフがディルハム銀貨という独自の貨幣を鋳造したんだけど、それが次第に広く使われ始めてオスマン朝初期にはそれらの貨幣で給与を支払ってたらしいよ。
1ディルハムは3アクチェなんだよ。

アクチェはディルハムの3分の1の価値と言うことね。でもヒュッレムは
金っていってなかった?

そうそう金じゃね。アルトゥンスラスで話題になった金、金はトルコ語ではアルトゥンっていうんだったじゃろ。金貨はディナールともいうんじゃよ。
ディナール金貨も例のウマイヤ朝のアブドゥルマリクが初めて鋳造したんじゃよ 。

へえ アブドゥルマリクってすごいわね!

ちなみにつくられた時は
ディナール金貨1枚はディルハム銀貨22枚です。

何グラム入ってたの?

その当時は金貨には4.25gです。銀貨には2.9gです。

実はスレイマン大帝もすごいんじゃよ。彼のすごいところは戦争に強いだけじゃなくて、経済にも法にも関心をしっかりもってたところじゃよ。

なんでわかるの

そういえばスレイマン大帝もディナール金貨を発行しましたよね、確か・・・

そうだね、当時は貨幣の中に金や銀が含まれていたから、貨幣そのものに価値があったんだよな、たくさんの金をスレイマンは持っていたことになる。鋳造できるほど多くの金をね。

金がたくさんイスタンブルの宮殿に集まってきたんですね。

それでヒュッレムが金貸しに借りたのが銀ではなく金だったのね。

でも変ねえ。金がいっぱいあるのにハレムが困窮するなんて・・・

ドラマのことあよくわかりませんが、スレイマン大帝の時代にアクチェとディナールが使われていたのにはまちがいがありません。

ヒュッレムは女官たちの給料を払うためにこの50000金を借り、さらにその金を盗まれたことで絶体絶命の窮地においこまれたしまったわね。

お金はどの時代でも権力の失墜の原因になっているね。

そうじゃなマヒデブラン然りヒュッレム然り・・・

ところでスレイマン大帝の経済はどうだったのかしら?

もちろん国が拡大するにつれ経済もより活発にダイナミックになっていきましたよ。

だが景気がいいってことはインフレが起こりやすいってことだよな。

そうですね。このアクチェも実はインフレの影響で面白いことになっていますよ。

どんな?

1400年代には約1アクチェは0.8グラムの銀でできていたらしいです。

それで?

1600年代にはなんと0.4グラム以下になっているのです。

へえ、それはなかなか面白いな。まあ銀のグラム数が減ったのはインフレのせいだけではないと思うが。

そうですね、でも貨幣の価値が下がったことは事実ですね。
何が面白いのかわからない明菜だったが、オスマン時代にも今のトルコと同じように貨幣の価値がどんどん下がっていたことを知って、

「ああオスマン朝時代の人たちも、私たちとおんなじ悩みを抱えていたんだわ」
とさらに親近感が湧いたのだった。

さあさあお著も飲み終わったことじゃし、銀の話もこれまでにしようかね。
と、あんねあんねはみんなが飲み干したからのチャイのカップと銀のスプーンを片づけ始めた。