トルコ映画『ビジョンテレがやってきた』

『ビジョンテレがやってきた』Vizontele Tuuba

【概要】
監督・脚本 ユルマズ エルドアン(イルマズ・アルドアン)
2004年公開

【キャスト】 
ユルマズ・エルドアン(イルマズ・アルドアン)エミン役 山奥の村に住む修理屋さん。手助け好きだがちょっとおもしろい。

タールク・アカン ギュネール役 村へ1980年図書館長として赴任。

イディル・フラト アイセル役 図書館長の妻

トゥーバ・ウンサル トゥーバ役 図書館長の娘

デメト・アクバー セィティ・アナ役

【あらすじ】
舞台は1980年9月12日のケナンエヴレン率いる軍部によるクーデータが起きる直前のある山奥の村。お人好しでおせっかい好きの何でも修理できる村人エミンとその夏村にやってきた図書館長家族の話。政局の不安定さの結果、左派の図書館長は左遷されてこの小さな山の中の街へやってきた。 
彼はまず図書館の建物を作りさらに本を全国から送ってもらうことに成功した。そして小さな田舎町に素敵な図書館ができたのだった。

問題は開館後一人も図書館に訪れないことだった。エミンは機転を利かせてテレビを設置することを提案する。テレビ鑑賞の後に、本をみんなに渡して読んでもらうという計画だった。これはなかなか評判が良かった。さらに図書館長は図書館で、読み書きのできない大人たちに文字を教え始めた。その夏、左派と右派の多少の衝突はあるもののエミンと図書館長家族はそれなりに幸せに暮らしていた。

ある朝エミンが修理したテレビをもって図書館へ向かった。中に入ると本はめちゃくちゃに散らばり椅子や机も倒されていた。何が起こったのかよくわからないエミンはトゥーバのことが心配になり図書館長の家へ急ぐ。すると荒らされた部屋の片隅にトゥーバの母とトゥーバは抱きあってうずくまっている。

図書館長は軍部の兵隊に連れて行かれたのだ。広場に集められた左翼の人々は大型トラック数台に載せられ消えた。戻れた人は少ないだろう。父親は戻らなかった。父親がいなくなったトゥーバはどうなったのだろう。

足が動かないトゥーバはエミンの隔てのない広い心に触れ癒されたが夏休みの終わりのクーデターによって2人は別れの時を迎える。エミンはユムシャクゲーのないトゥーバという名前を山の向こうに大きく描く。それを見ながらトゥーバはきた時と同じようにバスに乗って去って行った。

【映画の背景】
この映画を理解するために助けとなるのはトルコの当時の政治的経済的背景をつかむことだと思う。 そこで当時どんなんだったかを少し記しておこう。

1980年の経済はハイパーインフレで失業率が高く政府は対応策を見いだせずにいた。当時の2大政党は公正党Adalet Partisi(AP)と共和人民党Cumhuriyet Halk Partisi(CHP)だったが、どちらも1党支配ができず連立政権で国を運営せざるをえなかった。そのため政局は安定せずデミレルからエジェヴィット、エジェヴィットからデミレルへ数年で4回も2党の間で政権交代が行われた。さらにトルコ革命労働組合(DIDK)の労働者や学生が街頭演説をし、他方右翼グループが彼らを襲うという事件も頻繁に起こっていた。
さらに東南部出はクルディスタン労働党が結成されテロ活動を行った。
9月6日国民救済党のコンヤでの集会開催をきっかけに、軍は12日クーデターを起こし全権を握った。

軍部が65万人を拘束し23万人が起訴された。

教育では大学教授から小学校教員まで、政局では中央政府の高官から末端の役人まで人員が一斉に据替られた。 諸党は解散させられた。

65万人の中の1人がトゥーバの父親である。
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