ものがたり「守り人たち」5~守り人ピピ登場~

守り人ピピ登場
彼女の名は花、2007年1月7日、午前11時20分成田発北京経由で、カラチ行きの飛行機に乗った。紺色のスラックスとジャケット、首には大きめの淡紅色のスカーフを巻いている。冬休みを利用してパキスタン航空の格安チケットで、一人旅に出かけるところだ。目的地はイギリス。カラチでは、乗り換えのため16時間待った。それからドバイ、イスタンブール、イギリスへと長時間のフライトだが、初めての海外旅行だったので、花はうきうきしていた。
飛行機の中の窮屈さにそろそろ不満を感じ始めたころのことだ。  彼女の飛行機がちょうどコンヤ上空にさしかかったとき、薄ピンク色のムービングステイアーズが、花の座席を通過した。それはMⅦベータ星から月を経由して、地球へむかう移動階段だ。ピンク色のオーロラによってコーティングされている。そのオーロラに触れた瞬間人はムービングステイアーズの華夏に引き込まれる。そのピンクがかった空間ではマイナス50度の真空間でも人は死ぬことはない。こうして花はイギリスへ到着することなく、移動階段の目的地・トルコの古都コンヤに足を踏み入れることになった。
メヴラーナ博物館の緑先頭の天辺に守り人の一人ピピと共に降り立った。背の高いピピは、隣にいる花みて!ピピ。だが巻き込んだことを悟り、とっさに謝った。

「ゴメンナアサイ」

700年ぶりに地球に向かった守り人・ピピの完璧な操縦ミスが花を舞い込んだのだ。ピピの先輩の話では、地球の大気圏にはまれに流れ星や隕石が飛んでいると言われ、ピピは流れ星と隕石にのみ注意を向けてたのだ。
「わたし、どうしたのかしら、ずいぶんリアルな夢ね」
とアイマスクをし、機内でうとうとしていた花は夢の中のできごとだと勘違いした。再びピンクのスカーフをかぶったピピは、 
「ごめんなさい、私の操作ミスであなたをここへつれて来てしまいました。今あなたはトルコ共和国、コンヤ県にあるメヴラーナ博物館の屋根の上にいるのです」 

「ええ~?」花は、びっくりして下を見た。
ほんとに、そこは屋根の上らしい。バラ園や噴水がすぐ下にみえた。花は一瞬戸惑ったが、胸に手を当てた。花は、
「ところであなたはどなたですの?」 とたずねかえした。 
「私は守人ピンクのピピです。探し物をしています」

「何か落としたのですか」

「いいえ」

「そうでは、なにをさがしているの」

だいぶ落ち着いてきた花は、迷子になった子供にはなしかけるように、優しいトーンでたずねた。そのトーンに安心したのかピピは、
「パスポートです」 

「パスポートってこれみたいな?」 と言ってバッグから自分のを見せる。

「いいえ」
こうして花のはじめての海外旅行イギリスではなくコンヤになったのだ。そしてであったばかりのかわいいお友達のためにパスポート探しを手伝う羽目になった。

ところで守人だが、操作を間違えて、花を道連れにしたピンク色のピピ、明菜がつまみ上げた橙色のピパの他に、チョコ色で太っちょのピプと赤毛のピペ、そしてめがねをかけたブルーのピポがいる。あわせて5名だ。 

ピピの話ではパスポートはこの辺にあるらしい。ピピに耳を傾けてみよう。パスポートとは何か?
「皇女ラナが地球旅行するためのものです。パスポートは、三つの飾り物です。700年前皇女はコンヤ山中腹のかじやの娘に預けました」
「なぜ預けたの?持っていけばよかったのに」
「飾り物はMⅦベータ星では保存できないんです。地球の大気圏外では壊れてしまうのです。」
「へえ、わけわかんない」
「でも鍛冶屋の娘ってもうとっくに死んでるわよ。700年も前なんだから」
「それは大丈夫です。娘の子孫たちが守ってくれてます。」
「それで鍛冶屋はいまどこになるの」
「ピンチ中学校です」

とうわけで守人たちは元かじ屋の蔵だった場所・ピリンチ高に集合していた。

昔も、今も、ピリンチ高のあるコンヤは地中海への通り道だ。その道を多くの旅人や、征服者、そして難民たちが通りすぎたのだった。
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