ハティジェの最期 オスマン帝国外伝シーズン3 90話ハイライト
シャー、ハティジェ、ギュルフェムの3人が食事をしている。そこへ今のハティジェの夫・ヒュスレヴがやってきた。そして朝ヒュッレムの行方不明事件に関係している男が捕まったと伝えた。シャーは「何かごぞんじ?」と聞くが、ヒュスレヴには詳しいことは全く分からなかった。
するとアリアーが入ってきた。例の捕まった男に指示を出した人物だ。ハティジェは彼と出ていった。
ヒュスレヴは「サライに戻って調べます」といって急いで去った。
スレイマンは急い厩に向かった。その後を追おうとしたマルコチョールとリュステム。3人は今牢から取り調べを終え出てきたばかりだった。スレイマンは馬に乗り、2人の供をつれ急いで出かけた。
ここはシャーの家。スレイマンはハティジェに会いに来たのだ。スレイマンが急いで部屋にいくとそこにハティジェはいなかった。
ハティジェはバルコニーに立っていた。スレイマンはそれに気が付きバスコニーに出て、
「ヒュッレムをお前が誘拐したというのだが本当か?」と短直に聞いた。
すると「あなたいつもわたしの人生の中にいたわ。 あなたは私の心の中で特別な場所にいたのよ。あなたを故父や母よりも愛していたわ」と話し始めた。それを遮ってスレイマンは
「ヒュッレムはどこだ?」と聞いた。 だがハティジェは無視して続けた。
「あなたの良心を最も愛していたわ。アリさえも傷つけることを恐れていたあなたの良心をね。あなたの公平さを讃えていたのよ。何があても大きな木のよう堅固なあなたを。。。」とまるで独り言のようにハティジェは言った。
だがスレイマンはそんなことには耳も貸さなかった。ただただヒュッレムのことを聞き続けた。
「ハティジェ教えてくれ、彼女に何をしたのだ?」と聞いた。
ハティジェはそれでも続けた。
「あなたはいつでも愛を尊重していたわ。 みんなが反対したのにもかかわらずイブラヒムと結婚させてくれたわ。このことにとても感謝しているわ。
でもヒュッレムがやって来たのよ。彼女がおとぎ話を終わらせたわ。すべてがかわったのよ。あなたさえ彼女は変えたわ。私の良心的で公平で愛する、兄を私から彼女はうばったのよ。あなたは彼女以外何も見えなくなってしまったわ。おかあさまや私だけでなくイブラヒムやムスタファもね。あなたにとって誰も彼女より価値ある人はいないわ。
母もこのために亡くなったわ。それからイブラヒムが…あの夜あなたは何を感じたの?彼を死刑執行人たちが目を覚まさせ、彼の首にひもが巻かれていた時、彼がどんなだったか考えたことがあるの?あなたは?何を感じていたの?隣で彼が寝ているとき、あなたは何を考えていたの?」とイブラヒムの亡くなった日のことを問い詰め始めた。
するとスレイマンは
「あなたが感じたことと同じことを感じたのだ。昨日あなたが私について言ったことだよ。あなたはもう一度妹になりたいといったな。あなたを私は信じたのだ。だがあなたは・・・]
というと、
「私は黙っていたわ。あなたに言わなかったわ。あなたに言うつもりもなかった。あなたを傷つけたかったのよ。私のようにすこしずつ痛みを感じてほしかったの」
と言うハティジェの様子は少し変だった。それでもスレイマンは
「望みどおりになったろう?ヒュッレムはどこだ?」とまた尋ねた。
「私の他は誰も知らないわ 。あなたは決して彼女をさがせだせないでしょう」と言ってハティジェは倒れた。それを思わずスレイマンは抱きとめたが、ハティジェの手からは小瓶が落ちた。小瓶タイルの上を転がった。スレイマンはこの時ハティジェの異変に気が付き
「何ということをしたんだハティジェ!」と叫んだ。 その子便には毒が入っていたのだ。
「私は・・・おぼえている?私が忘れて時がたてばよくなるといったわね。時が過ぎたわ、お兄様、それも長い時間が・・・」とイブラヒムの死への痛みが消えなかったことをか細い声で訴えた。
「でも私は忘れることができなかったの。回復できなかったわ、あなたもできないと確信しているわ。ヒュッレム妃のお墓の場所は決してわからないでしょう。イブラヒムと同じようにね」と言ってハティジェは息を引き取った。
そうか!ハティジェはイブラヒムのお墓を知ることができなかったから、スレイマンにもヒュッレムの亡骸に会わせたくないと思ったのだ!
初めの頃はオスマン家人々の中で唯一ヒュッレムに好意的だったハティジェだが、ヒュッレムが次々と自分の大切なものを奪っていったため、彼女は復讐心のみで何とか生きてきた。シャーもマヒデブランもできなかった復讐をやり遂げたのだった。
スレイマンは「ハティジェ、ハティジェ」と叫び続けたが、ハティジェは戻ってくることはなかった。 彼女は最愛の人イブラヒムと共に過ごした思い出ぶかい家のバルコニーで48歳という短い生涯を閉じたのだった。