メフメト皇子に馬をもって近づく兵士 オスマン帝国外伝シーズン3 87話ハイライト

オスマン軍の陣営は夜を迎えた。真っ暗な中でメフメト皇子を呼び止める者がいた。彼はメフメトのおつきのものに両手を腕を捕らえられた。兵士は

「お話したいことがございます。長くお時間はとらせません」

というとメフメトは

「なはしてやれ、なんだ話とは?」と言った。 


「皇帝様はあなたをサルハンサンジャクに任命されたと聞きました」というと、メフメトは

「兵士たちの間で何が話されているか知っている。ムスタファ皇子に不当な扱いをし、彼の地位を私が奪ったと考えているのだな。あなたも同じ考えか?」 と聞いた。メフメトはムスタファ兄に悪いとずっと思っていた。スレイマンにも、ムスタファ兄にもその想いを伝えていたのだ。ところが兵士は


「いいえ、決して皇子様、皇子様についてそのようなことを話すなんて分を超えことです。逆に私はこの赴任を喜んでおります。私はマニサに住んでおります。マニサの人々もあなたを歓喜と共にお迎えするものと信じております」と答えた。

「神がお望みならばあなたが行いったとおりになるだろう、あなたの名は?」 とメフメトはうれしくなって聞いた。

「私の名はイリヤスです」と答えたとき、彼は何かを落とした。

するとメフメトは「それはなんだ?」と聞いた。

「皇子様、これは馬です」とイリヤスは答えた。

「馬か? 」

「まだ完成しておりません、ですが、もし完成すれば素晴らしい馬になるでしょう」というと、メフメトは

「完成したら見せてほしいのだが。きっとあなたが言ったように素晴らしいものになるだろう」言った。

メフメトとイリヤスの出会いはこんな感じだった。

そしてしばらくしてその馬は完成した。その兵士はメフメトに声をかけた。 すると

「メフメトは持ってきなさい、どのようかみてみよう」といってテントへ向かった。

兵舎の中で

「もしおきにめさなければ」と兵士はメフメトがずっと馬を見ているので心配になって声をかけた。すると

「いいや、とても気にいったよ。あなたには才能があるね」と気さくに返事をした。

「あなたにふさわしくはありません。皇子様。ですがもしあなたが贈り物としてが受け取ってくださるならたいへん光栄です」

と言った。メフメトは

「いぜんあったことがあるのかな? 」

と聞くと

「いいえ、ですがコルフ島の戦いではじめてあなたをみました。ベネチアの罠にかかり、マルコチョール様と共に勇敢に戦っていらっしゃったことを覚えております」 と答えた。

「初陣の時だったよ 」トメフメト。

「私にも初めての戦争でした。インシャアラー、常に皇帝様と共に勝利をあなたさまも勝ち得ることができますように」とイリヤスがいうと、

「アーミン、ほかになにもなければ、もうさがってよろしい」と言った。

メフメトはイリヤスを気にいったようだった。人を疑わないところがメフメト皇子の良さなのだが、これがあだになることもある。

ほとんどの人は自分に近寄ってきて、自分にとって耳にやさしいことを言われれば悪い気がしないし、贈り物をもらえばうれしいだろう。イリヤスは本当にメフメト皇子を慕っているのだろうか?それとも保身のために近づいてきたのだろうか?もしくはイリヤスは敵なのだろうか?

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