メフメ皇子はムスタファ兄へ怒りをぶつける オスマン帝国外伝シーズン3 88・89話ハイライト
ここはスレイマンの部屋の前の廊下だ。遠征から帰ったばかりのメフメトは狼狽して、マルコチョールに
「見つからないのは最悪の場合もあるかな、マルコチョール。おそらく母上の命を奪ったのだ」というと、ミフリマーフが
「いいえ 、それはありえません。母は生きています。彼女が必要だわ。彼女を見つけなければ、そうでしょう?・・・」とマルコチョールをみ言った。みんなはヒュッレムのことを話していたのだ。
「ご心配なさらないでください、皇女様。真実は必ず明らかになります。わが主がヒュッレム妃を子供たちにあわせてくれるよう祈りましょう」というとミフリマーフは今にも泣き出しそうだったがそれをぐっと抑え、小さな声で「アーミン」と言った。
(アーミンとはアーメンと同じで「まことに」「たしかに」といった意味『キリスト教とイスラム教 どう違うか50のQ&A(新潮選書)』ひろやちさ/新潮社 1988)を参照)
そこへシャーたちが部屋からでてきて、マルコチョールとリュステムが中に呼ばれた。残ったのはミフリマーフとメフメトとスンビュルだった。メフメトは皇子様とムスタファを呼び止め、彼に近づいた。そして突然
「もし母に何かあったら、あなたのせいだ」と叫んだ。
「メフメト、この問題と私が何の関係があるというのだ」と驚いて聞いた。何故なら今までメフメトがムスタファを疑ったことはなかったからだ。いつもメフメトは弟としてムスタファ礼を尽くしていた。
「マニサから左遷されたことを母のせいにしていたではないですか!彼女がさせたといったではないですか。そのあと母がとつぜんいなくなったのだ!」
と叫んだ。するとムスタファも怒って
「なんという侮辱!私に向かってなんということ言うのだ! 」とムスタファも怒鳴った。
ミフリマーフも心配そうにしていたがシャーがムスタファを止めた。
「残念なことだ。自分の弟からこんなことを聞くとは・・・」
とムスタファは悲しそうに言い、去っていった。シャーはメフメトに
「メフメト、私のライオン。あなたの痛みはよくわかるわ。 このようなことは許されないわ。ムスタファはあなたの兄なのよ。兄を悲しませてもあなたは傷つくだけよ」と言って去った。
シーンは変わり、ミフリマーフはメフメトに
「ムスタファ兄の罪はないわ。あなたは無駄に彼の心を傷つけたわ」
「兄が母を憎んでいることを知っています。何度も彼の目の中にそれを感じました」というと、
「私たちもマヒデブランさまを嫌っているわ、そうでしょう?」
ミフリマーフはかなり冷静だった。彼女はよくわかっていた。彼女はマヒデブランもムスタファも心から嫌いなわけではなかった。なぜお互いが嫌うのかは立場の違いからだとよくわかっていた。だがメフメトは目の前の出来事に強く影響されていた。
そういえばあれほどムスタファを敵対視しているヒュッレムもシーズン4で「あなたが本当の息子だったらよかったのに」とムスタファに語ったことがある。ヒュッレムも知っていたのだ。さらにマヒデブランにも後にヒュッレムは和解を求めた。もしマヒデブランそしてムスタファがヒュッレムと違う形で出会っていたら、きっといい関係を築けたにちがいない。
メフメトは
「ただ私は自分の敵を嫌うだけだ。だがあなたのいうとおりだ。私の兄はそんなことはしないよ。一瞬かっとなって・・戻ったばかりの時にこのような知らせを受けたらかーとなってしまったのだ」 とメフメトも少し落ち着いたようだ。
そこへリュステムが入ってきたので、「何か知らせはあるか?」とメフメトは聞いた。まだ何も、ですがもうすぐ知らせが届くでしょう」と答えた。
ミフリマーフは「皇帝様はどのようなご様子なの?あなたは会うことができたの?私はおそばに行きたいの。でも誰もうけいれないのよ」と心配して聞いた。するとリュステムが
「心を痛めておられますしばらくお一人になるのもよろしいかと」と答えた。スレイマンは目にいれてもいたくないミフリマーフにさえ会おうとしなかったようだ。それほどかなしんでいる・・・
リュステムは皇子に
「皇子様あなたはこれからはより警戒しなければなりません。マニサに赴任されることを妨害しようとするでしょう。そのためすぐにマニサにおたちにならなければなりません」と言うが、メフメトは
「母が見つかるまでどこへも行かない!」とかたくなに答えた。
リュステムは困ったという顔をしたが、メフメトは今母のことで頭がいっぱいだったのだ。こののちメフメトは母が見つかる前に赴任することになった。