シャーは高利貸しベネチア人の発行した証文をもってエディルネヘ オスマン帝国外伝シーズン3 71話ハイライト
「ギュルフェム妃をみかけました。アフィフェ様と話していたのですが、聞いたところによると彼女は暁に出かけるそうです」
とファーリエが急いで入ってきて言った。
「どこへ?どこへいくというの? 」
とヒュッレムは答えた。
「エディルネヘです。シャー様とともに行くということです」
とヒュッレムにはよくない知らせだった。ヒュッレムはとっさにいかりのことば
「のろわれろ」
と口走った。その一言は悔しさと恐ろしさとストレスがいっぱいのヒュッレムの今の気持ちを表していた。そして
「もちろんシャー様はこの機会を逃すはずがないもの。彼女がどんなふうに伝えるかはわかったものではないわ」
と言った。今までヒュッレムは二度ほど金欠で高利貸しからお金を借りたのだが、その証文がシャーの手にわたった。それだけではそれほどのもんだいではないかもしれないが、実は借りた相手が今戦争中のベネチアの商人だったのだ。
その証拠となる証文をもってシャーたちはエディルネに向かうということだった。 落ち着きを失ったヒュッレムにファーリエは
「これは私たちにとっても良い機会でもありますわ、皇帝妃様」
と妙なことを言った。彼女は続けた。
「もしエディルネに置くのであれば証文を持って行くはずです」
「わかったことには、他に道がないわけね」
と言ってすぐに行動を開始した。 まずは
「スンビュルに知らせて最も信用できるものたちを集めて。シャー様はエディルネには到着しないわ 」
と直ちに命じた。
「承知いたしました、皇帝妃様 」
とファーリエは答えたが、いったい何をするつもりだろう?
シャーたちは馬車で出かけた。馬車の中でギュルフェムが 「お許しください、でも私もハティジェ様と同じ考えです。皇帝様は今までヒュッレム妃がしたことすべて信じようとはしませんでした。今回もそうでしょう」
と言うと、シャーはきっぱりと
「これはしんじるわ。信じさせるためにできるだけのことはするするもりよ。ヒュッレムはもうこれ以上勝てないわよ。わかりますか?」
と言って 手に持っていた借用書を見せ
「これは彼女の死の証文となるわ。私が自分の手でこれを渡しますわ」
と言うと、納得したか納得しなかったかわからない様子でギュルフェムは頷だがいた。
だがその次の瞬間、馬車は襲われた。でも襲う側の人々の動きが何だかにぶい。
ハレムではスンビュルが
「ご心配なさらないください。信用Ⅾ系る者たちを選びましたから、必ずせいこうさせるでしょう 」
と言うと、
「そうね、スンビュル 他のことは考えたくもないわ」
と言いスンビュルを見た。
「そのあとがおそろしいです、シャー様は決してあきらめないでしょう。何が起こったか皇帝様にお伝えするはずです」
とスンビュルは答えた。
「おつたえしないわ、彼女は賢く誇り高き女性ですから」
とヒュッレムは言った。(なぜつたえないのかな?ふつう伝える?)
シーンはまた馬車に戻る。
「シャーは私たちを誰か知ってるの?もし私たちに触れたら首が飛ぶわよ」
と盗賊に冷静に話すシャー。だがギュルフェムは慌てていた。
「やめてください」
といいながら彼女は祈り始めた。すると盗賊は
「証文はどこだ」
とシャーの首に刀を近づけて脅かした。それを持てギュルフェムは慌てて
「助けてください。誰か助けて~~~」
と叫び始めた。
「よこさなければ、きるぞ」
と盗賊がおどかすと、シャーは
「そんなことはできないわ、あなたがそのような命令を受けているとは思わないもの」
とか静かに話した。(え?シャーは誰が襲ったかをしってる?そして命令かもわかっているのかな? だとしたらシャーは賢い女性なのだから証文を取られることも予想がつくのでは?)
男はあきらめて今度はギュルフェムの喉にナイフを押し付けた。
「やめて」
とシャーは少し慌てた感じで言う。でも男は
「証文はどこだ」
の一点張りだった。
「やめてなさい、なにももしないで」
もう一度シャーは心配そうに男に言った。そして
「彼女をはなして、わかったわ」
と言い、それからいわくつきな目をして証文を取り出しすなおに渡した。
男は二人には危害を加えず馬車を降りて去った。 シャーはしまったと思いながら目を閉じた。
ギュルフェムは恐ろしさがまだ去らず息ができないようだった。
今回はどうやらシャーの負けのようだ。