女性に弱いマルコチョール オスマン帝国外伝シーズン3 77話ハイライト
ここはイスタンブルにあるベネチア大使の家だ。聖母マリアの絵が掲げられ暖炉もヨーロッパ風に作られ、ステンドグラスの窓も素敵だ。
マルコチョールは大使と向かい合って座っている。 まずは
「大使がお越しくださりありがとうございます」
とあいさつをした。
「あまり時間がありません。すぐ本題に入ってください」 とマルコチョールは答えた。
「はい。ご存知のように私たちは戦争で大きな損失を出しました。特に深刻な商売の問題でこんなに陥っています。地中海の東側で航海することもできません。大宰相は私たちにとても怒っているようですね、でも我々両国にとってこれは有益ではありません」と切り出すと、
「そうですね、でもあなた方の信頼を失わせたのはあなた方ですから。関係は以前のようにならないことは明らかですね」とマルコチョールは即座に答えた。
「皇帝の様の私たちへの怒りを存じております。あなたは近侍として私たちの間を改善にするならば、お望み通りの見返りを得られますよ」というと「フーン」といいながらマルコチョールは考えるしぐさをした。そしてあきれたように「フフ」と笑って、
「トマス何たる侮辱だ。あなたは私にわいろを勧めているのですか」
というと、大使は慌てて
「いいえ誤解なさっているのですよ。私ただあなたを御援助したかっただけです。おゆるしくだされば以前のように商売をして、その結果私たちは益を得るわけです」
と言い訳した。
するとマルコチョールはかっこいい声で
「オスマンの政治的決定は唯一皇帝様のみができるのです。戦争も平和も皇帝様が決めるのです」
というと、ごもっともと感服しがらも大使は
「もしあなたが皇帝とお会いできるようにおたすけくだされば・・・ 」
というところで、マルコチョールは言葉を遮り、
「今はできるとは思いません」
と断固マルコチョールは断り続けた。 ところがそこへ女性が入ってきた。 大使の姪だそうだ。大使がマルコチョールに紹介すると、彼は立ってあいさつしようとした。 すると女性は
「マルコチョールバーリベイ」
と言った。「シルビアさん」
とマルコチョールも彼女の名を呼んだ。
驚いたのは大使だ。「あなた方はいつ知り合ったのですか? 」
と驚いて聞くと、
マルコチョールは今までの表情とは打って変わって、やわわかく「イタリア遠征の時に知り合いました」と答えた。
「なんともすばらしい! 」
と大使は言い、内心喜んだ。 マルコチョールはシルビアとは親密な関係だったらしい。 そのためマルコチョールはシルビアとの再会を喜んだ。
「もう少し長く滞在してくれ。イスタンブル世界で最も美しい街だよ 」とマルコチョールは言った。
というと、シルビアは「できればもうすこし滞在したいと思いますわ。勿論あなたが案内してくださるならば」
と答えた。
「喜んで」とマルコチョールは答えた。 この様子を大使はみていた。そしてマルコチョールが去るとき
「先ほどの件をどうかお願いします」というのを忘れなかった。
マルコチョールは
「心配するな」と言い、それからシルビアにあいさつし帰った。
そのあとで大使は「神があなたを私に送ってくれたよ」と大喜びだった。どうやら大使の思惑はシルビアによって実現しそうだ。