ムスタファがエレーリへ向かう途中に兵士たちが道を遮る その理由は? オスマン帝国外伝シーズン4 50話ハイライト
スレイマンは10月5日にエレーリに到着していた。1553年10月6日ムスタファはみんなの反対を押しきってエレーリに駐屯しているスレイマンのところへたった4人で向かった。
ところがその途中イェニチェリたちが彼を待っていた。謀反せよとでも言うつもりなのだろうか?
その中の一人が「イエニチェリのフセインです」と名のるとムスタファは
「何故私の前に現れたのだ」と聞いた。すると
「あなたを慕い、あなたに忠誠を誓い、あなたに従う人々と共に、私たちもお進みになることを望みません。神への愛、預言者への愛、アリさまへの愛、そしてベクタシュヴェリ様への愛のためにどうかお留まりください。どうか行かないでください」と言い跪くと、そこにいたイェニチェリ全員も跪き、行かないようにと懇願の意を表した。イェニチェリはムスタファを敬愛していた。だがムスタファは
「フセインよ、あなたにそして私を慕い私に忠誠をつくし私に従う者たちに平安があるように、だが忘れないでほしい、あなたがたは私をとめるためにではなく、私と共に歩くためにいるのだ」というと、フセインは感極まり、耐えられなくなって立ち上がり、
「どうかおやめくださいこの道の果ては暗黒です。あなたを処刑するおつもりです」
と再び必死で止めた。するとアトマジャは息をのんだ。アトマジャも全く同じことを考えていた詩、何度も皇子を止めようと試みたのだった。だが失敗した。彼らが最後の望みだった。どうか彼らのことばを聞き入れてくださいとアトマジャは心の中で祈っていた。
だがムスタファは
「フセインよ おまえに命令する、道を開けよ」というとフセインは従うしかなかった。
アトマジャはがっかりしたが、イェニチェリたちは道を開けた。道の両側でお辞儀をするイェニチェリたちの気持ちをよそに、ムスタファは前に進んでいった。
こうして皇子ムスタファはエレーリについた。そこでも多くの兵士たちに歓迎された。彼らは口々にムスタファの栄光を讃え、叫んでいた。(オスマン帝国内外を問わずどの国の書物にもムスタファはイェニチェリから絶大な信頼を受けていたとよく書かれている)
一方ヤフヤはムスタファには同行せず少し離れたところでアトマジャからの連絡を待っていた。いつでも蜂起できるように待機していたのだ。準備は完全だった。たぶんこの体制ならムスタファを助けることができるかもしれない。
ムスタファは馬から降りた。そしてテントの入り口まで一人で歩いていった。そこで、アトマジャはすぐに行動を開始した。馬に乗ってヤフヤの元へ向かった。だがアトマジャの走る背後から矢が飛んできた。矢を放ったのはリュステムの手のものだった。
アトマジャは倒れた。ヤフヤのところへは行くことができなかったのだ。アトマジャは死んじゃったのだろうか? ムスタファの運命はこの時決定的に法くづけられたのだった。