ヒュッレムは棺の中のジハンギルを見て意識を失った。オスマン帝国外伝シーズン4 56話ハイライト
ヒュッレムはみんなに部屋を出るように大きな声で怒鳴った。手にけがをしていた。なにがおこったのだろう?
ヒュッレムはファーリエに
「あなたの言うとおりだったわ。私が静かにしているとすぐにはむかうようね」
と言って手当てをしてもらっていると、スンビュルが手紙をもって来た。セリムが送ってよこしたのだ。手紙によるとジハンギルはムスタファ兄の死後病状が悪化したそうだ。今ジハンギルは出征したコンヤの天幕の中で病気と戦っていた。
ヒュッレムは動転しバヤジトに
「ジハンギルは重病だそうよ。戦地へ行かなければならないわ。彼に会わなければならないのよ」と言うと、
「行きましょう、私の弟のそばへ」と許可を出すと、ヒュッレムはバヤジトに抱きついた。今バヤジトが宮殿を任されていた。
それからヒュッレムとバヤジトは急いでコンヤへ向かった。馬車の中で隣にのっていたのはスンビュルだった。彼はいつものようにヒュッレムを励ました。天候も悪く、雨が降り続いていた。
ヒュッレムは「いつやむのかしら、この雨は・・・」とスンビュルに話しかけた。彼はもうすぐやみますよ、インシャアラー」と言ったとたん、向こうからセリムがやってきた。
バヤジトは馬を降りた。セリムはバヤジトにちかづいた。その時バヤジトは見た。棺を・・・
一方フェルハトに連れられてスレイマンは部屋にこもって祈りをささげていた。祈りによって、2人の息子を亡くしてその痛みを何とか克服しようとしていた。だがスレイマンのこの痛みは生涯消えることはなかった。
それからセリムは馬車に近づいた。ヒュッレムは馬車の扉を開けた。
そして棺を見た!彼女は駆け出した。
ヒュッレムは棺のところまで来ると、泣き崩れ、棺のふたを「開けて」と叫んだ。中にはつらい最後だとわかるような表情のジハンギルが横たわっていた。痛み止めのモルヒネをたくさんの三、父を恨みながら死んでいった。安らかな顔ではなかった・・・
それを見たヒュッレムは意識を失った。ヒュッレムの戦いはムスタファの死で終わるかと思ったが、実はそうではなかった。これからヒュッレムの本当の苦しい戦いが始まるのだった。
ところでジハンギルは生まれたときから思い病気を患っていた。つらい治療に耐えて何とか成長できたのだが、病弱だったのだ。
今回無理して遠征に出かけたのはムスタファ兄を守るためだった。
だがムスタファ兄は亡くなり、ジハンギルはそのショックから立ち直れなかった。繊細で、正義を重んじるジハンギルは父が兄を殺したことに耐えられなかった。
父スレイマンを責めながら彼は短い人生を閉じた。墓はイスタンブルにある。彼は1553年11月23日に亡くなった。21歳だった。