ミフリュニーサの冬は終わり、ヒュッレムの冬が始まる オスマン帝国外伝シーズン4 57話ハイライト
ムスタファと息子メフメトを失ったミフリュニーサはマヒデブランと共に宮殿を訪れた。
ミフリュニーサは長椅子に座っていた。そしてゆっくり立ち上がり箱を開け、中からナイフを取り出した。
あれ?、もしかしたらヒュッレムを・・・
そうとも知らずヒュッレムはろうかを歩いていた。
ヒュッレムに気づいたマヒデブランが近づき、二人はにらみ合いになった。そこへミフリュニーサが右手にナイフを持って後ろから現れた。半分本心状態のようにも見える。
そして 「ヒュッレム皇帝妃様」と彼女は廊下から呼んだ。ヒュレムとスンビュルそしてファーリエは振り向き、驚いた。アーたちがすぐ厳戒態勢に入った。
だがヒュッレムは
「通しなさい」と言った。
なぜ言ったのだろうか?だってミフリュニーサが近づいてきたのだよ。彼女は武芸の達人だ。この距離ならひとつきでヒュッレムの急所を狙うことが可能なのに。
ミフリュニーサは手にナイフを持ちながらゆっくりそばに寄った。そして
「 私の心の光が消えました、皇帝妃様。
私の心の主、皇子様である私の愛する方の命を奪った日、私は暗黒に埋もれました。
ちょうど私が血の海でおぼれそうなっている時、息子のメフメトが私の手を握ってくれました私を暗闇から救ってくれました。
息子が私をいたみと悲しみの井戸から救ってくれたのです。彼を信頼し、彼に抱きつきました」と言って一歩近づくと、あたりの緊張は増した。
ヒュッレムもミフリュニーサの言葉に耳を傾けているようだった。それはそうだろう。ミフリュニーサの痛みをわからない女性はいないはずだ。ヒュッレムだって例外ではない。
「けれども皇帝妃様あなたは私から彼も奪ったのです。
もし生きていたら、そして私のそばにいたら、いつかまた私にも春が訪れたことでしょう。
山には花々がさき、鳥たちがさえずったでしょうに。
バラの香りも、、、バラの香りがどこでもただよったでしょう。血の匂いではありません。
皇帝妃様、あなたは・・・ あなたは世界の季節を変えてしまったのです。
極寒の冬を始めさせてしまったのですから、この冷たい風は決して止まらないでしょう。
目の前にあるものをすべて取り去っていくことでしょう
みんなが自分自身の運命に虐げられることでしょう」とミフリュニーサの声をきいたマヒデブランの目から涙がこぼれた。 (ああ悲しい。ミフリュニーサは本当に不憫だ。)
それからミフリュニーサは
「私の冬は終わりました、皇帝妃様」と涙目で続けた。そして
「あなたの冬が新しく始ままるのです」
えっ?どういうこと?ヒュッレムの冬が終わるではないの?ミフリュニーサはヒュッレムを刺すつもりなのではないの?と私たちが考える間もなく、思いもかけないことがその次の瞬間に起こった。
何とミフリュニーサはナイフを自分の喉にあて、ナイフを一気に引いた。
彼女はこのようにュッレムの目の前で倒れ、亡くなった。
地中海を制した男フズル海軍提督の娘の悲しい最後だった。
誰もがヒュッレムを狙うと思ったにちがない!彼女の性格からすればありえない選択だ。
意外過ぎたこの結末はヒュッレムの心にも深く傷として残ったことだろう。
男勝りだったミフリュニーサ。
自分より強い男と運命的な出会い、命を懸けた恋をしたミフリュニーサ。
彼女の才能と強さ、強さに隠れた情愛の深さ!
もしムスタファが皇位についたなら、彼女は歴史に名を残す皇帝妃になっていたことだろう。