この愛は息子への愛はどんな邪悪なことも破壊できるほど強力だとムスタファは言うが・・・ オスマン帝国外伝シーズン4 49話ハイライト
ムスタファはついにコンヤヘ出発した。その道の途中で
少し休みましょうか」とヤフヤがいうと、「いや必要ない。アトマジャからなぜ知らせがないのだ?」と聞いた。今アトマジャは先にコンヤの陣営に向かい、情報を収集しただけでなく謀反の準備もしていた。
ムスタファは空を飛ぶ鳥の群れを見上げながら「にわのバラは秋が来るのをしっていたなら、そして飛ぶ鳥たちがハンターが近づくのを知っていたなら」とヤフヤに語り始めた。
これは以前ヤフヤが語った詩のようだ。ムスタファはヤフヤに
「以前あなたは私に詩を読んでくれたものだが、どうしたのだ、もう詩を書いてはいないのか?情熱がなくなってしまったのかい?」
と急に詩の話になった。
「書いてはおりますが、良い題材がないのです。おっしゃる通り愛の感性が・・・」とヤフヤは答えうと、ムスタファは
「私のそばでかれはててしまったのかな?」とムスタファが言うと
「そんなことはありません」と答えたが、ヤフヤの感性はムスタファの忠臣としての任務が重すぎたせいで詩への情熱が枯渇してしまったのかもしれない。でもヤフヤは
「もし私に少しでも価値があるとすれば、それはあなたのそばにいるからです」とまったく反対の答えをした。彼は詩人としてよりも何よりもムスタファのそばにいることで自分の価値を見出していたのだった。
するとムスタファは「そうか」というようにヤフヤの腕をやさしくつかんだ。ヤフヤは微笑んだ。ムスタファも微笑んだ。二人の微笑みがなぜか私を泣かせた。
それからムスタファは「この詩の冒頭はどんなだったかな?」といい、
「もし瞳が痛みとは何かを知っているならば、天がこの別れを経験したならば、皇帝がこの痛みを・・」というところまで朗読したとき、馬が近づいてきた。
皇帝からの手紙を届けてきた使者だった。手紙を受け取るヤフヤの顔は険しかった。
何が書いてあるのだろうか?
「皇帝は私のテントを陣営から離れたところに構えよと仰せだ。知らせが届き次第私一人で会いに来るようにとのことだ」とムスタファはヤフヤに言った。
こうして陣営から2マイルほど離れたところに、ムスタファはテントを構えることになった。この様子からスレイマンがムスタファたちを警戒しているのが彼らにもわかった。
スレイマンもそのころ帝都からコンヤに向かっていた。
ヤフヤは「皇帝があなたをあなたの軍隊と共に陣営に入らせないとは、彼の目的は明らかになりました。もう命令を下されたのですよ。」
簡単だとでもいうのか、タシュルジャルよ。まだそんなことを考えているのか?あなたも。アトマジャも母もニーサもみなこうていをうたがってる。だが私は他のことを考えている。何故なら彼は私の父親なのだよ。私の父だ!
するとヤフヤは静かな声で
「皇子様 皇帝はあらゆる可能性を考える皇子であるようにとおっしゃいました。覚えておりませんか?」
「あの日 私は可能性を考えたからこそ私は私自身を差し出したのだ、それが私が覚えていることだよ。父上は私を殺しはしない。彼と話し合うよ。彼は私をきっと信じてくれる、いつでも彼は私を信じてくれたのだから。
私も父親だ。父にとって子供がどんなにかけがえのない存在か私にはよくわかっている。この愛はどんな邪悪なことも破壊できるほど強力なのだよ」
とヤフヤにいった。
ヤフヤはそうかもしれないが「それはムスタファ様の子供に対する愛であって、皇帝のそれとは違いますよと言いたそうな顔をしたが黙っていた。
ムスタファも完全にスレイマンを信じていたわけではないのかもしれない。ただ自分がそう信じたかった愛の形を、自分に言いきかせていただけなのかもしれない。実際にはそうあってほしいという強い願望が彼に真実を見誤らせたのだった。