【トルコ小説】「心の園にてメヴラーナ」その6
ガイドは、聖メヴラーナが、「『メスネヴィー』の中で語ったように、唯一の神は拝火教徒でさえ、もしご自身を呼び求める者なら応え給う」と言 いながら、このように成熟者たちは神の恵みと慈悲で希望に満ち溢れていた。聖メヴラーナの誰をも下にみるべきではない」という繊細な考え方を、別の言葉を 説明した。そして、その言葉を暗誦すると、忠俊はさらに感嘆した。
「信仰を持たない人々を軽視なさらないでください。信仰者として死を迎える可能性もあります。人の人生の終わりを知るものはいませんのに、そのことからまったく顔を背けていらっしゃるのです」と言う彼の言葉は、意味深長である。
聖メヴラーナが担った役割を意識して、彼は次のように述べている。
「私たちはコンパスのようだ。私たちの一方の足はシャリーア(イスラーム法)の上に、堅固に留まっているが、もう一方の足は72の国を歩き回っている。ある人々は時がたつに連れ、黙認できないような行き過ぎた寛容さと非難したとしても、その広い寛容さはタウヒード(アッラーのほかに神はなし)の秘密と高貴なる クルアーンの光とイスラームの意識と基本に基づく聖ムハンマド・ムスタファ(彼に祝福と平安あれ)の高徳さを指し示しているに他ならない」と。
平らな表面を流れる透き通った水のように、滑らかに読まれた聖メヴラーナの諸ベイト(二行連句)とガイドの解説は、よく響き、こだましながら、真っ暗な穴の 中へ、さらに深い井戸の底に流れ込むかのように、日本人の観光客の脳裏にも流れ込み、こだました。忠俊は、その場の心地よさの中で幸せと驚きを感じていた。人々はモザイクのように、同じ場所に存在でき、寛容と愛の最終扉を捜し求め、そこに至ることもできる。そして、その色とりどりのモザイクの中で、それ ぞれの魂が一つになる。誰もが、それらにご自身の高貴な光を与える聖メヴラーナを太陽にたとえる。彼は、善人も、悪人も、富む者も、貧しき者も、知り合い も、見知らぬ人も、大人も、子供も差別なく、それぞれの人間、いきとしいけるものすべてに、同じ光を放つ太陽のようである。鎖に繋がれ、締め付けられてい るかのように、「もしあなたの生きた時代に生き、あなたを見ることができたなら、偉大な思想家よ」という言葉が、彼の唇からもれでた。
中の神聖な神秘的な雰囲気は、忠俊に霊感によって磨かれたメッセージを与えた。忠俊は類まれな精神的雰囲気の中で生きつづけた。永遠の魂、太陽よりも神秘的で、今まで解き明かされなかった偉大な秘密が、忠俊の全細胞を捉えたようであった。
ガイドは博物館の壁に掲げられている4行詩を訳しながら読み上げていた。それから意味も説明していた。
「石は葉を出させない、春がきて過ぎ去っても、
土となれ、なんとも美しいバラを咲かせられる、
汝は石のよう、多くの心を砕いてきた、さすればもう十分、
土となれ、その上には楽しげなバラたちが育まれる」
「信仰を持たない人々を軽視なさらないでください。信仰者として死を迎える可能性もあります。人の人生の終わりを知るものはいませんのに、そのことからまったく顔を背けていらっしゃるのです」と言う彼の言葉は、意味深長である。
聖メヴラーナが担った役割を意識して、彼は次のように述べている。
「私たちはコンパスのようだ。私たちの一方の足はシャリーア(イスラーム法)の上に、堅固に留まっているが、もう一方の足は72の国を歩き回っている。ある人々は時がたつに連れ、黙認できないような行き過ぎた寛容さと非難したとしても、その広い寛容さはタウヒード(アッラーのほかに神はなし)の秘密と高貴なる クルアーンの光とイスラームの意識と基本に基づく聖ムハンマド・ムスタファ(彼に祝福と平安あれ)の高徳さを指し示しているに他ならない」と。
平らな表面を流れる透き通った水のように、滑らかに読まれた聖メヴラーナの諸ベイト(二行連句)とガイドの解説は、よく響き、こだましながら、真っ暗な穴の 中へ、さらに深い井戸の底に流れ込むかのように、日本人の観光客の脳裏にも流れ込み、こだました。忠俊は、その場の心地よさの中で幸せと驚きを感じていた。人々はモザイクのように、同じ場所に存在でき、寛容と愛の最終扉を捜し求め、そこに至ることもできる。そして、その色とりどりのモザイクの中で、それ ぞれの魂が一つになる。誰もが、それらにご自身の高貴な光を与える聖メヴラーナを太陽にたとえる。彼は、善人も、悪人も、富む者も、貧しき者も、知り合い も、見知らぬ人も、大人も、子供も差別なく、それぞれの人間、いきとしいけるものすべてに、同じ光を放つ太陽のようである。鎖に繋がれ、締め付けられてい るかのように、「もしあなたの生きた時代に生き、あなたを見ることができたなら、偉大な思想家よ」という言葉が、彼の唇からもれでた。
中の神聖な神秘的な雰囲気は、忠俊に霊感によって磨かれたメッセージを与えた。忠俊は類まれな精神的雰囲気の中で生きつづけた。永遠の魂、太陽よりも神秘的で、今まで解き明かされなかった偉大な秘密が、忠俊の全細胞を捉えたようであった。
ガイドは博物館の壁に掲げられている4行詩を訳しながら読み上げていた。それから意味も説明していた。
「石は葉を出させない、春がきて過ぎ去っても、
土となれ、なんとも美しいバラを咲かせられる、
汝は石のよう、多くの心を砕いてきた、さすればもう十分、
土となれ、その上には楽しげなバラたちが育まれる」
「来たれ」と言う呼びかけとこの詩の一ベイト(二行連句)の中の深遠な思想が、その瞬間に彼の脳裏に完全にやきつけられた。と同時に何か特別な驚きも感じた。「この言葉を語ることができ、何世紀もの間それが忘れ去られなかったこと、そして周囲、いや周囲を乗り越え全世界へと繋がる知識の連鎖によって、数多 くの知識人達へと受け継がれてきたこのすばらしい考え方は、理性と優れた知性に支えられている。本にはいり切れないほどの強い生命力と情熱溢れる愛にささえられた思念・・・情け容赦のないこの世の社会にもまれても、人生を何とか守りぬこうとする人々のために最も役立つ薬、最も効果のある解毒剤、最も快適な 精神状態へ導くもの、最も優れた医療」と彼は考えた。