新・オスマン帝国外伝~影の女帝キョセム~ シーズン1 最終話84話後半 ムラト皇子即位
キョセムは遅かった。 ついにオスマン2世は絞殺されてしまった。
キョセムは耳のないオスマンの亡骸をみてただただ涙するのだった。 そして彼の首にかけられた綱を取りそれをつかんだ。彼女は悲しみと復讐の気持ちでいっぱいだった。
世界の支配者を殺したのだった。
耳をみてハリメは満足そうに笑い、ムスタファは気味悪そうに自分の耳を抑えた。
妻のアキレも連れていかれた 息子のいないゆりかごを見てオスマンのいないことを悲しんだ。
キョセムはゆっくりとお墓へ向かった。そこには夫アフメトと息子メフメトの墓があった。今そこにオスマンの墓が・・・
女官はビュルビュルのおかげで皇子たちは無事でした。 神が私たちを助けてくださいました」
といいハジアーは
「準備はもすでにできています。反逆者はみな報いを受けるでしょう」言うと
キョセムはきりっとした顔で墓を見た。
ダウドは妻のディルルバが勝利の宴によっていると外から音がした。
立ち上がると、イエニチェリがはいってきた。
「ダウドパシャ、オスマン皇帝をムスタファ皇帝の許しなく殺したことは罪です」と言われダウドはひったてられた。
「誰が命じたの?キョセムか?」
「いえムスタファ皇帝の命令です」と勅書を見せた唖然とするディルルバ。彼女は一人部屋に取り残された。
外ではハリルパシャがキョセムに「準備は整っております。命じてください。ムスタファ皇帝を皇位から降ろしムラト皇子様を皇位につけましょう」というと
「それはリスクが高いわね。反逆者たちはオスマンも殺したのよ。皇位にの座には血が付いているわ。血の付いたギョクザにはすわせないわ」
といった。ではどうするつもりだろう。
我に返ったディルルバは母の元へ急いだ。そしてダウドが連れていかれたことを話すと、「その命令は私が書かせたのよ」と答えた。
「何ですって?!弟を皇位につけるために多くの危険を冒したのよ。いつでもムスタファの味方だったわ。どうしてこんなことが!」
「できることはしたわ。彼の罪は重いのよ。もし彼を犠牲にしなければ私たちみんなが消滅するわよ」とハリメは冷たく言った。
この一連の事件の責任をハリメはダウドに取らせたのだ。
ディルルバは「お願いです。彼なしでは生きていけません。おねがいです・・」というがハリメはびくともしなかった。
先日オスマンが連れていかれたのと同じように白い服を来たダウドは、オスマンの亡くなった場所に連れていかれた。
その場所にはオスマンの血のついた縄をもってキョセムが待っていた。
そしてアリアーに「ダウドをゆっくりあの世へ送るように」と命じた。
なんとまあ。昨日の他人は今日の自分だ。
ビュルビュルにヒューマシャーはわかれを告げていた。 ヒューマシャーは宮殿を去るつもりだ。
「ここにいる必要は全くないわ。すべての愛する人はみなさってしまったわ、母、イスケンデル。そしてズルフィキャル・・・
ここには悲しい思い出しかないわ。 あなたもよかったら私と一緒にきなさい」
といった。でもビュルビュルはいかなかった。キョセムのそばに残るつもりだった。
一方キョセムは身なりを整えていた。彼女はグリーンを基調としたドレスや装飾品を身に着けた。そして最後にグリーンの指輪をはめた。これはヒュッレムからヌールバーヌー、サフィエを通じてキョセムに渡ったのだった。
反乱を扇動したイェニチェリたちが処刑された。
次はオメルだった。彼はオスマン皇帝の側近で、皇帝を裏切り逃げた。さらに彼のせいでジェンネトは死んだ。
次にディルルバが呼びとめられ、キョセムの手のものに刺された。
こんなにも簡単に制圧できたのならなぜオスマンを助けられなかったのだろう?
もっと早く彼らを制圧すればよかったのに・・・
とはことが起こってから言えることだ。
反乱とはあっという間に広がるし、誰も予測できない。気が付いたときには遅いのだ。キョセムもそんな感じだった。
着飾ったキョセムはムラトの元へむかった。そしてムラトを先頭にゆっくりと歩きだした。
どこへ行くのだろうか?
ハリメとムスタファ以外はみなこの世を去った。
ところがハリメの女官の一人がキョセムからの挨拶と共に、薬瓶を差し出した。
そうなのだハリメは毒を盛られて、目をあけたまま亡くなった。残されたのはムスタファのみだった。
キョセムはムラトに「いつもあなたのそばにいるわ」と言いながら、明るい日の差す方へ歩いた。
そこからは兵士たちや官僚が見下ろせた。一同がムラトにあいさつをした。
そしてみんなは「キョセム様バンザイ、ムラト皇帝様バンザイ 」と新しい皇帝を口々にたたえた。
これでシーズン1は終わりです。最後はあっという間にムラトが皇帝になってしまいましたね。ムスタファ以外はみな処刑するという方法で、キョセムはムラトを位につけました。
シーズン2ではムラトからイブラヒムまでの時代が 描かれます。そして最後に今日見た光景と同じような光景をキョセムは目にすることになります。
今まさに天下を取ったキョセムですが、彼女は絞殺されて無残な最期を遂げます。
ビュルビュルもアジアーもその反乱で一緒に亡くなります。栄枯盛衰は世の習いとよく聞きますが、まさしくその通りですね。
たとえ権力を持ち、この世で繁栄しても、最後はみな同じです。死を迎えます。トルコでは近くの兵士たちが戦争で亡くなったり、テロで近所の人が亡くなったりするので死はかなり身近ですが、
私たちは戦争のない日本で、いままであまり身近ではなかった死がコロナによって身近に感じるようになりましたね。
できれば健康で死ぬそのときまで活き活きと生きていけるといいなあと思います。
皆さん!免疫力UPして、元気に頑張りましょう!