新・オスマン帝国外伝~影の女帝キョセム~ シーズン2 E30の3 再びムスタファ皇帝が誕生する
オスマン皇帝はイエニチェリに連れていかれた。その途中も服をはがされターバンを脱がされ、靴を取られ、ものを投げられたり、小突かれたり、石を投げられたりさんざんな目にめにあいながら民衆の前に連れ出されたのだ、そしてしまいには両手を縛られ、ロバにのせられ町中を引きずり回された。卵や野菜やいろんなものが飛んできた。
そのようすを聞いてオスマンの妻がやってきて止めに入ろうとしたところ、ヒューマシャーにとめられた。それをおし切っていこうとするアキレに
「今は私の言うことを聞いて、父親のリところへ戻り、皇子を守って」説得され思いとどまった。
イェニチェリの宿舎で起こった出来事が、ようやくキョセムの元に伝えられた。ズルフィキャルは殺され、オスマン皇帝も連れ出されたことを聞いた。さらにオスマンはムスタファ皇帝の元へ連れていかれ彼は忠誠を誓わせることになると伝えられた。
キョセムはすぐに宿舎へ向かった。ズルフィキャルの遺体をみて怒りが体全体に走るのを感じた。それからハリメのところへ急いで向かった。
そこでまたハリメたちとキョセムの言い争いが始まった。
ハリメは自分たちが優位になったので、「もしあなたがオスマンと他の皇子たちを助けたいのならすぐ、ウラマたちとムスタファに忠誠を誓うように話しなさい」と言い切った。キョセムは黙った。
するとディルルバーが「なぜまだ考えているの?子供たちと会いたくないの?もう受け入れなさい!」と強気に言った。キョセムは子供たちが人質に取られていたのだった。
そのころオスマンはムスタファの元に到着した。オスマンはろばから引きずりおろされ、
イェニチェリにつかまえられ、みんなの前に立った。そこへ「オスマン」と言う声がした。キョセムだった。「どきなさい。何を下の皇帝様に何をしたの?」と言って、手の縄をほどいた。
オスマンは「すべてが終わりました、母上」と言うとキョセムは、「いいえ終わってはいないわ。私の部下があなたを守るわ。まっすぐ立ちなさい」と言った。
そして「中央モスクへ連れて行って。あそこには誰も手が出せないわ」と部下のイエニチェリの一人に命じ、「誰も皇帝に触れるな」と大声でそこにいる兵士たちに叫んだ。
皇帝はなんとか中央モスクに到着した。
それからキョセムはみんなの前で、
「起こったことは起こったことです。これからのことを考えなければなりません。新しいい皇帝をたてましょう。これからはムスタファ皇子が皇帝です」と宣言し、去っていった。
あれ?ハリメとの取引に応じたのだろうか?ともかくハリメは満足そうな顔をして人々を見下ろした。
外に出たキョセムはヒューマシャーと出くわした。
彼女は「ズルフィキャルはどこ」と聞いた。
キョセムはなかの方をさした。するとそこからズルフィキャルの遺体がタンカーにのせられ出てきた。
中では「ムスタファ皇帝万歳」という声と共にムスタファが現れた。それからハリメは大宰相にダウドを任命した。
ムスタファは「殺されないようにみんなに金を与えろ」というがその行動のおかしさを兵士たちは気づいた。ムスタファは怖がっていたのだ。
ディルルバーはその様子を見て、すぐにでもオスマンと他の皇子たちを殺さなければならないと考えた。
ところで皇子たちはどうしているのだろう?燃え落ちた小屋の中に皇子たちの遺体があるのだろうか?キョセムは皇子たちがいたという小屋へ向かう馬車のなかで皇子たちの無事を祈るばかりだった。
もう一人悲しんでいる者がいた。ヒューマシャーだった。ズルフィキャルの遺体を見たフーマシャーは、ズルフィキャルに
「あなたをゆるすわ。安心して眠って。あなたをすべて許すわ」と声をかけながら涙を流し最後にやさしくほおに口づけして白い布をかけた。
そこへ人が亡くなった時に流れるサラーが聞こえてきた。すると兵士たちは「誰が亡くなったのだ?オスマン皇帝か?」と口々に言った。
そこでダウドが出てきた。すると兵士の一人が「ムスタファ皇帝に忠誠は尽くしますが、オスマン皇帝の命を取ることは許しません。それは承諾できません」と言った。イエニチェリもいろいろだった。反乱は何度か起こったが、皇帝の命がとらたことは今までなかったようだ。だから兵士たちも躊躇していた。
するとダウドは
「今日は金曜日だ、金曜のサラーだ。オスマン皇子なかで元気にしていらっしゃる」
と言い訳をした。するとみんなが「オスマン皇帝を見せろ」といった。
それでオスマンはみんなの前に連れ出された。
ダウドは「オスマン皇子です」というと「皇子?」とオスマンは言った。そこへとおくから「オスマン皇帝万歳」と言う声が聞こえてきた。
声を張り上げているのはなんとムスタファ皇帝だった。兵士たちはその様子に戸惑いを覚えた。何故なら皇帝が他のものを皇帝と言っているからだ。
明らかにムスタファは気が違っていた。それを兵士たちも感づいた。