ヒュッレムが不治の病に、それでも彼女は皇子たちの仲裁へ走る オスマン帝国外伝シーズン4 71話ハイライト
スレイマンを心配してエディルネを訪れたヒュッレムを待っていたのはスレイマンの冷たい心とユダヤの商人だった。スレイマンがその女性によって心が和んでいる様子を見たヒュッレムは、寂しい気持ちになった。もうスレイマンいに自分は必要ないのかなあと思ったに違いない。
そんな気持ちが沈んでいるヒュッレムに、より衝撃的な事件の知らせが届いた。なんとセリムとバヤジトが武力で争うことになりそうだというのだ。慌ててヒュッレムはセリムのいるマニサに向かった。(マニサにバヤジトが武装して向かっている)
その途中の馬車の中でスンビュルは「夜は横になってお休みになられたほうがよかったのでは」とヒュッレムに言うと彼女は
「だめよ。できるだけ速くマニサにいかなければならないわ」と言いながら右肩を抑えた。
痛みが走ったようだ。
スンビュルが心配して様子を尋ねると、
「急に痛みを感じたのよ」と答えた。
「女医が同行しています。すぐ見てもらう方がよろしいかと」
というと、
「いいえ、結構よ、スンビュル、まずはマニサにつかないと・・・」といった。痛みより子供たちのことを心配してたのだ。
そして夜が明け、馬車を途中で降りるほど彼女の痛みがひどくなった。
女医が 「この腫物はいつからですか」
「わからないわ、たぶん一か月前ほどかしら」
「他に何か症状はありますか?」
「ほかにはないわ、でも飲み込むのが時々難しいことがあるわ」
というと、女医はしばらく沈黙していた。それでヒュッレムが「何か言って」と言うと、女医は浮かない顔していま、「まだはっきりしたことはわかりません」とごまかしながら、スンビュルの顔を見た。
これは?どういうことなのだろう?
馬車からすこし遠くでスンビュルは女医に
「皇帝妃様の病気は何ですか?言ってください、なぜ黙っているのですか」と
聞いた。なんとか重い口を開いた女医に
「皇帝妃様は重傷です。この病気で命が助かったものを今まで聞いたこともみたこともありません。死期は近いです」と言われ、スンビュルは愕然とした。
あの無敵のヒュッレムが!
彼女も病気には勝てないのか・・・そして死を免れることもできないのだろうか!
ヒュッレムの不在は皇子たちの安全が消えることを意味した。ヒュッレムは二人のために長生きしなければならないのに、どうやらそれはかなわぬ運命のようだ。
人はみな死ぬ。思いや希望や夢が成し遂げられずに道半ばで天に召されることもある。がんの友人は
「死ぬまでにやりたいことまたはやれることが最後までできるとは思っていないわ。ただやろうとしている目的の方向を定めることはできわ。方向性を決める決定権だけは病気の人にも健康な人にも平等に与えられているものでしょう?生きるってことは、自分で方向を決め、その方向へただひたすら歩くことなのじゃないかしら」とよく言うのだが、ヒュッレムにはたぶんこの言葉は通用しないだろう。彼女はとにかく自分が頑張って、二人を争わせず、二人とも救わなければならないと強く思っているし、できるとも思っていたに違いない。だが現実は違った・・・ヒュッレムはもう一人息子を失うことになるのだった。