ヒュッレムの葬儀 彼女は「あなたの心の中に埋めてください」と言った オスマン帝国外伝シーズン4 80話ハイライト
1558年4月ヒュッレムはこの世を去った。そして宮殿が悲しみに涼む中葬式の準備が始まっていた。
スレイマンはこれ以後笑うことはなかったところで。いつもスレイマンが手に持っている者がある。それはテスビフと言う99の数珠でできている。いつの頃からかスレイマンはその数珠をてばなすことができなくなっていた。神を思ういろんな祈りや賛美の言葉があるが、スレイマンは絶えずそれを唱えていた、そうでもしないと立っていることができなかったからだ。あの世界を制した剛健なスレイマンは、どこへ行ってしまったのだろう。今そこにはただよわよわしく、悲しみにうもれた妻を亡くしたただの男がそこにいた。
紅色の覆いに覆われた棺が厳かに宮殿から外へ運ばれた。
「すべてははかなくいつかは消えていく。愛の他はすべてファーニー(一時的なもの)だ。みなしんでさっていく。この世で永遠に残るものは愛のみだ」というスレイマンの声と共にヒュッレムの棺は進んでいく。
ヒュッレムは亡くなった。だがヒュッレムの愛だけは残っているというのだ。
皆が悲しみの中で見送っていた。その中でひとりだけ悲しんでいないものが、いたそれはヌールバーヌーだ。
ミフリマーフは別れに耐え切れず棺のそばに走り寄った。そして棺をいとおしそうになぜた。それを棺の前方を担いでいたスンビュルは見るに忍びなく顔をそむけた。娘は息子よりもより母親にちかい。ミフリマーフは母の死を受け入れることができないでいた。かわいそうに・・・・
それを見つめる女官たち・・・
棺が進まないのでギュルフェムがミフリマーフの肩に手を、手を引き棺からはなさせた。
棺は進む。ゆっくりと・・・
そして外延まで運ばれた。女性たちは高い塔からその様子を見ていた。ヌールバーヌーもいた。
外延では棺をかつぐ者が変わった。左前にスレイマン右前にセリムそしてバヤジトが続いていた。それから棺はスレイマニエモスクへと続いた。
スレイマンは最後の別れをし、ジェナーゼナマズ(葬儀の祈り)をするために最前列へと戻った。イマムに先導されて無事礼拝は終わった。その時スレイマンは以前ヒュッレムと二人でモスクを訪れたときのことを思い出していた。
スレイマンはミーマルシナンが造った荘厳なモスクを見上げながら、
「ここは私の心だ」といった。するとヒュッレムは
「もしここがあなたの心なのでしたら、どうかここに(あなたの心に)埋めてください」と答えたのだった。。そのヒュッレムが亡くなる前の遺言どおり、亡骸はスレイマニエモスクに埋められた。そヒュッレムにとってそこはスレイマンの心だった。
墓穴が掘られ、ケフェと言う布に包まれたヒュッレムが埋められ、板が敷かれた。スレイマンは初めにその墓板の上に土をかけた。
これ以後スレイマンは笑うことはなかったが、そばはいつもヒュッレムがいたのだった。ヒュッレムは死後も彼の心を占領していたのだ。
永遠の愛と聞くと、嘘っぽく聞こえてしまうけれど、ヒュッレムの生きざまを見てきた私たちには、スレイマンへのヒュッレムの愛は永遠にこの世に残っているのかもしれないと感じることができる。
神がヒュッレム妃を慈悲をおかけくださいますように