新・オスマン帝国外伝~影の女帝キョセム~ シーズン2 E50 バヤジトの死
フェルハトアーだけでなく、バヤジトの一味の者はみな捕まった。
だがバヤジトはそのままだった。
皇帝はイスラム長老に相談しファトワを出すように命じた。数日が彼はファトワを持ってきた。謀反の罪は重く、罰は死だという結論だった。
キョセムはアフメト皇帝が亡くなった時、嘘の国璽を出して問題になったが、その内容は兄弟殺しは禁止するというものだった。キョセムはそうしてまで弟殺しの慣習を避けようとしてきたのだ。
前アフメト皇帝は今までの慣習を破って、兄弟を殺さなかった。それは亡き兄との約束があったからだが、それでも自分自身にはこれから以後兄弟殺しを禁止する命令は出さずにいた。
こうしてキョセムが守ってきたものが壊れていくのだ。 何故ならバヤジトに死の命令が出たからだ。
バヤジトは自分の死を命じた手紙をもってケマンケシュと共に帝都に戻った。帝都についたのはそれから3か月後のことだった。
シナンパシャはバヤジトをペルシャに逃がそうとしたがバヤジトはそれを拒んだ。理由は同じ名前のスレイマン大帝の子がペルシャに逃げたときにどうなったかを知っていたからだ。彼と同じ運命をたどるよりは帝都で死ぬことをバヤジトは選んだ。
その夜、都は勝利のお祝いに浮かれていた。そんな中でバヤジトは絞殺された。
ここですこし私たちを安心させたのは心の優しいイブラヒム皇子の行動だった。歴史上では彼はデリイブラヒムと言われて少し精神を病んでいたという風に書かれているが、本来は優しい普通の子供だったようだ。だが次第に彼は死の恐怖をいつも抱えているようになった。それはカシムが幽閉され、今兄のバヤジトが処刑されたからだ。
以前にメフメト兄も、オスマン兄も処刑された。だがその時は彼は小さかったのでよく覚えていない。でも今度はバヤジトが目の前で処刑されたのだ。
次は自分の番かもしれないと思うとイブラヒムは正気ではいられなかった。(弟なのだから流刑ではいけないのだろうか?インドドラマ ポロスでは弟の謀反の罪は牢屋に入れられることだった。インドのほうが罰が慈悲深いのかな?)
兄弟が争うことほど悲しいくつらいことはないだろう。キョセムにしてみればまた一人子供が逝ってしまったのだから、その悲しみは深まるばかりだろう。