新・オスマン帝国外伝 ~影の女帝キョセム~ シーズン2 E53 ムラト皇帝を幽閉しようとするキョセム

ムラトも天然痘がうつった。二人の息子(ファルヤ王女の息子たち)はギュルバハル人さらわれ手たとき、天然病にかかって、亡くなったばかりだった。助けに行ったムラトにも映ったようだそして彼は重病になった。天然痘になった者が治ることはこの当時なかった。

みんなが希望を捨てた。一人だけムラト皇帝の回復を強く信じていたものがいた。それは元ペルシャの人で、戦争に負けた後ムラト皇帝に忠誠を誓った優秀な武人だった。

困ったときに真の友はわかるというが、まさにこのユスフはムラト皇帝にとっては刀持ちの亡き後真の友となった。

国籍、人種では人の忠誠心ははかれないという良い例だ。その昔ペルシャ生まれのサルマーンという方が預言者の一族の一人であるといわれたことからもわかるように、○○心と呼ばれる目に見えない何かは心の中の純粋な思いの強さにより測ることができるのかもしれない。

キョセムは悲しみながらも次のことを考えていた。キョセムは二人の皇子を鳥かごから出した。そしてカシムを皇帝にすることをみんなを集めて宣言した。

まだムラト皇帝が闘病中なのにこの行いは少し先走りすぎるのでと思うが、それほどキョセムは切迫していた。二人の息子を助けようと必死だったのだ。

だが現実は思うようにはいかない。運がよく皇帝は回復し元気な姿でそこへ現れた。そしてみんなを恐怖で従わせた。

キョセムも従わないわけにはいかなかった。彼女が守ろうとしているのはどちらも子供なのだから。

ムラトに刀を上げることはできない。キョセムの難しさはムラトの命も助け、カシムとイブラヒムの命も助けるというところだった。ふつうは敵とは刀で戦うことができる時代だった。だがキョセムにはその手法がないのだ。

また鳥かごに戻され幽閉された二人・・・今度は母親との接触は一切禁止になった。

 こうした緊張感のあふれる宮殿にイスラム長老が夜中遅く訪れた。皇帝に呼ばれたのだ。何をどう話したかは一切言わなかったが、キョセムにはわかった。

キョセムは二人の息子の死のためのファトワを求められたのだと・・・

おそろしくなったキョセムはすぐに行動に出た。そして息子たちが処刑される前に、ムラト皇帝を捕まえ伯父のいる部屋に閉じ込めることを計画した。

だがこの計画は未然に防がれた。それどころかこの計画を知ったムラト皇帝はこれを利用して、キョセムの計画を暴こうとした。

そしてそれは成功した。

皇帝は二人の弟の閉じ込められた鳥かごへ死刑執行人を送った。

カシムは処刑された。イブラヒムはたまたま外に出て雪と遊んでいたので部屋にいなかったそのため発見が遅れ、キョセムのほうが先にイブラヒムを見つけた。

処刑人が近づくと、キョセムは

「私の命を取ってから出ないとイブラヒムには指一本触れさせない わ」

と叫んだ。ちょうどそこにムラト皇帝も来たところだった。

キョセムは実の弟を処刑したムラトを反逆者と呼んだ。

キョセム対ムラト皇帝!

キョセムはイブラヒムを守り切れるのだろうか?

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