久しぶりの読書『デカルトからベイトソンへ』 モリス・バーマン著

2020年早々手にした本、以前紹介した『Alife』と言う人工生命の本の参考文献に出ていた「デカルトからベイトソンへ」と言う本です。

 デカルトの原子論的考え方とベイトソンの唱える全体論的考え方を紹介している本です。前半は近代科学までのお話です。後半では ベイトソンの考え方を詳しく説明し、さらにベイトソンの考え方の危惧する面も語ります。そういった批判も加えてたうえで、ベイトソンの考えを元に、未来の形而上学を築くこうと試みています。

 ただ最後に政治学との関連づけて、ベイトソンをもってきているのはすこしわかりにくかったかもしれません。

(たとえば全体論的考え方がまかり間違えばファシズムを擁護することに使われるかもしれないと考えているみたいです。)

 内容はともかくンモリス氏の情熱的な語り口には魅了されました。残念ながらモリス氏が描いた未来(今)では、彼の望んだ形而上学は形成されることなく、デカルト的思考がさらに推進され、人々は住みにくい世界となっています。
いつもは目次を紹介するのですが、今回はモリス氏がわかりやすくまとめた表を紹介します。
特に注目したのは太線にしました。(原書では太文字ではありません)

引用 p284

近代科学(デカルト的)の世界観
ベイトソンの全体論の世界観
事実と価値とは無関係。
事実と価値とは不可分
自然は外側から支配され、諸現象はそのコンテクストからとり出され、抽象化されて吟味される(実験)。
自然は我々との関係の中で明らかにされ、諸現象はコンテクストの中でのみ知ることができる。(参加する者による観察)
自然を意識的、経験的に支配することが目標。
無意識の精神が根源にある。叡智、美、優雅(グレイス)を目標とする。
抽象的、数学的な記述。数量化できることのみが現実。
抽象と具体とが混合した記述。量よりも質が第一。
精神は身体から、主体は客体から分離している。
精神/身体、主体/客体はいずれも同じ一つのプロセスの二つの面
直線的時間、無限の進歩。原理的には現実を完璧に知り尽くすことができる。
循環的、(システムのなかの特定の変数のみを極大化することはできない)。原理的に現実の一部しか知ることができない。
「AかBか」の理論。情感は生理現象に伴って二次的に生じる現象である。
「AもBも」の理論(弁証法的)情感は精緻な演算規則を持つ。
原子論
1物体と運動のみが現実。
2全体は部分の集合以上のものではない。
3 生物体は原理的には非有機体に還元可能。自然は究極的に死んでいる。
全体論
1プロセス、形、関係がまずはじめにある。
2全体は部分にはない特性を持つ。
3生物体、もしくは<精神>は、構成要素に還元できない。自然は生きている。

メモ
ベイトソンは最大化ではなく最適化を重視。
全体と部分は同じように見えて違う。例として集合 
集合の要素と集合自体は違うもの。
 
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