私はヒュッレムですとマヒデブランに口答えすると・・・ ヒュッレムの軌跡9 (オスマン帝国外伝シーズン1)

 レクサンドラが戻った。2日も皇帝と一緒だったのだ。

ということは木曜日の夜もスレイマンは慣例を破ってアレクサンドラといたのだった。

女奴隷たちの元へ戻ったアレクサンドラは自慢げそうにみんなをみわたし、

「もうアレクサンドラはいないわ。ヒュッレムよ。これからはヒュッレムと呼んで」

「ヒュッレム、ヒュッレムと皇帝が耳元でささやいたのよ。アレクサンドラは死んだわ。ヒュッレムが生まれたのよ」と言った。

(彼女はよろこんでいるようだったが、自分の名前が変わることに抵抗がないのだろうか?)

 

そこへスンビュルたちが来て、二階の部屋へ移るように命じ、ダイェが皇帝からの贈り物をわたした。ヒュッレムはお礼のあいさつをした。

トルコでは手に口づけするのが敬意を表す行為なのだ。 

部屋へ連れていかれたヒュッレムは子供のようにはしゃいだ。リンゴをかじり、ベッドの上で跳ね回った。

ニギャールは冷静に、

「ここに残る頃は難しいのよ。罠にはめられるからね。気をつけなさい。喧嘩をしないように」と忠告した。

でもヒュッレムはうれしくて跳ね回り全くニギャールきいていなかった。

 

マヒデブランはヒュッレムのことで母后に相談に行ったが、

「あなたはムスタファの面倒をよくみなさい。彼を良い皇子に育てることだけを考えなさい。悲しんではいけないわ」

といい、彼女を励ますためにか、お楽しみ会を開くように伝えた。

そしてお楽しみ会は始まった。みんなは席についたが、ヒュッレムのだけは二階に立ったままだった。 

マヒデブランはギュルシャーを彼女を呼びに行かせた。

そしてマヒデブランは彼女に

「ダンスが上手だそうね。さあ踊って」

と命じた。すると彼女は踊り始めた。ブルーの衣装だった。

でもマヒデブランが何度もアレクサンドラと呼ぶので、彼女は

「ヒュッレムです」

と言い返した。するとみんなの顔色が変わった。

マヒデブランに口ごたえすることはご法度なのだ。

にもかかわらずヒュッレムは彼女を恐れずにいつものように率直に間違いをただした。

こうしてマヒデブランと言い合いになった。

すると母后が

「彼女を連れて行って牢に入れなさい」と命じた。

マヒデブランは満足げだったが母后は心配した様子だった。何故ならマヒデブランのふるまいも皇帝妃としてはふさわしくないと思ったからだ。だが女奴隷たちを向かわせないためにはヒュッレムを罰するしかなかった。

 

ヒュッレムはこうして暗い牢の中で過ごすことになった・・・

初めからこんな具合でどうやってこのハレムでヒュッレムは生きていくのだろうか?

もう少し上の者たちに従った方が良いのかもしれないと思うけれど・・・

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