ヒュッレムの軌跡シーズン4 10 年には勝てないヒュッレムの苦しみ
ヒュッレムは悪夢で目覚めた。立ち上がりバルコニーに出た。彼女は過去のことを思い出していた。
それに気づいてファーリエが追いかけた。次の瞬間ヒュッレムは彼女の手の中に倒れた。
そしてベッドへ・・
次の朝みんなはヒュッレムが倒れたことを知った。理由は病気ではなかった。
ファーリエは理由を絶対秘密にするよう女医に強く注意した。
スンビュルも心配してベッドの上のヒュッレムに話しかけた。すると彼女は
「ここまでのようね」
とめずらしく弱気なことを言った。そして
「時がたつのははやいものね。メフメトを抱いたのがまるで昨日のことのように思えるわ、それからミフリマーフ、セリム、バヤジト、ジハンギル・・・」
と昔のことを思い出していた。
だがこの事実が女奴隷たちに知れると大変なことになると気が付き、心配するファーリエが止めるのも聞かず立ち上がり、
「やすむことは許されないわ。みなかったの、私をどのように脅かしたかを!」
と言ってムスタファの送った小箱を指さした。そうなのだ。ついこの間ムスタファが送った小箱がベッドの上に置いてあったのだ。ムスタファの息のかかった者がヒュッレムの寝室に自由に入ることができるということだ。ヒュッレムが危機を感じたのも無理はない。そんな時に、倒れてしまったのだから、ヒュッレムの恐怖はさらに強まった。
そして「服をよういしなさい!」と大声で命じた。
ヒュッレムはこんな時でも、自分が健康であることをみんなにみせなければならないのだった。皇帝妃は安易に病気になることもできないのだ。もし弱みを少しでも見せれば、すぐに誰かが襲ってくる!皇帝妃の地位と引き換えにヒュッレムは安らかさを手放していたのだった。(体調が悪くても横になれないなんて、皇帝妃もほんとにかわいそうだなあ)