ヒュッレムの軌跡シーズン4 11 初老を迎えたヒュッレムの悩み
ヒュッレムとミフリマーフはセリムについてはなしていた。
セリムには自分に忠誠を誓った女性を同行させたというのだその女性とはこの間、星を見て自殺しようとしていたヌールーバーヌーのことだった。
彼女はヒュッレムの手足になることを条件でマニサに行くことを許可された。
ミフリマーフは母親の体調がすぐれないと聞いて心配し、その話を始めたが、ヒュッレムはまた後でねと言って話を切った。
そして話題はファトマ皇女にうつった。彼女は今晩女奴隷たちを集めてお楽しみ会を開くとのことで、ミフリマーフもそれに呼ばれていた。
そしてお楽しみ会が始まった。女性同士踊りを踊りながら楽しんでいた。ファトマも万遍の笑みを浮かべながらその様子を観賞していた。
ギュルフェムは「みんなに笑いが戻ってよかった」と彼女にお礼を言った。
そこへヒュッレムが入ってきて、座った。なんだか居心地が悪そうでしたが、ファトマは上機嫌だった。
ミフリマーフにも リュステムのことで皮肉を言った後、ひどいことが起こった。
微笑みながらファトマ皇女はヒュッレムの話を始めた。
「ヒュッレムスルタンのような偉大な方はいないわ。皇帝の愛を一身に浴びて呼吸しているですから。あなたを好きな人も嫌いな人も誰もがみんな(スレイマンのヒュッレムの愛を)知っているわ。すべての人に神が与えてくださいますように」と言った後で、ヒュッレムは立ち上がり出ていこうとした。
その時だった。 彼女はヒュッレムを呼び止め、そして
「うかがって、とても悲しみましたわ。お大事に」と声をかけたのだった。
ミフリマーフを初めみんなが驚いた。
ヒュッレムもなんのことだろうと思い、
「何の話でしょうか、わかりませんわ」と答えると
「閉経なさったそうね。でも悲しまないでください。だれにでもおこることですから」
といい、お菓子を口に頬張った。
ヒュッレムは頭を金づちで撃たれたような表情をして部屋へ戻った。
部屋に入ったヒュッレム後からアフィフェが入ってきたが、
「一人にして」と言ってから、大泣きを始めた。
鏡に映ったヒュッレムの姿はとても哀れだった。
お楽しみ会の会場では、空気が一転して人々は楽しむのを辞めた。
ファトマは
「なんということでしょう。みなさんがごぞんじだとおもってましたわ」と平然と言ったのだ。
ミフリマーフもショックを受けたようだった。だがそれを押し隠し
「音楽がなぜ止まったの、スンビュル」
と言った。さすがミフリマーフ。動揺しても決して慌てない。
部屋に戻ったミフリマーフはヒュッレムを見舞ったが、
「このことで生活は何も変わらないわ。それでも人は悲しむものよ。その価値を知らずに過ごした日々のことを・・・」
とヒュッレムは言った。それから
「陽はいつか沈むわ。その日のために準備をしなければならないわ。でも今すぐではないわ。あなたの弟たちの将来のためにまだ沈むことはできないわ」
と言ってミフリマーフの手をにぎった。
ヒュッレムは子供たちのことしか考えていないようだった。
彼女はもともとは優し少女で、牧師の娘だったのだが、ここまでいろいろつらい経験をしてきた。彼女は、子供たちのためにという強い意志のみで何度も窮地から立ち上がったのだった。今回もそうなのだろう。
初老を迎えた皇帝妃、彼女の望みは子供たちの幸せな未来のみだったのだ・・・