ヒュッレムはまイブラヒムに呼び止められ・・・ヒュッレムの軌跡12 オスマン帝国外伝シーズン1
ヒュッレムが準備をしていたすると同室のアイシャが
「だめよ、いっても会えないわ」 と言ったが、ヒュッレムは出かけた。
廊下で
「どこへ」とイブラヒムに声をかけられた。
「ここへは 知らせなく入ることはできない。私が逝けと言ったら行くのです。来いと言った時に来るのですよ。わかったか、ヒュッレムさん。い け 」
と低く厳しい声で言った。
するとヒュッレムは挑戦的な態度で
「皇帝は待っていらっしゃいますわ」
と言いのけた。
そこへニギャールが取り持つように
「小姓頭様がダメというにはそれなりの理由があるはずです」
というが
どうしても入るというヒュッレムに、
声を荒げて
「ニギャー女官このものをずぐに連れていきなさい。皇帝はハレムの仕事で忙しいのだ。すぐ連れていけ」
と言った。ヒュッレムはにらみながらも去らないわけにはいかなかった。
部屋の中にはマフデブランがいたのだ。
イブラヒムは小姓頭で、スレイマン大帝が大変信頼していたので、たぶん皇帝の次に影の権力を持っていたのではないかと思う。
小姓頭から大宰相に昇進した人はイブラヒムの他にもいるが、小姓頭という立場は皇帝の公私ともに係る場合が多かったので、権力を持ちやすかったのだろう。
ヒュッレムはまだ宮廷の仕組みがわかっていなかった。そこでイブラヒムにも横柄な言い方をしたのだった。