晴天を衝け 3話 栄一の初めての大仕事、
江戸へ父親初めて出かけた栄一は有頂天だった。そして江戸の町は御武家様の街ではない商売の地だとその活気の良さに感動した。
だがその年血洗村の藍の葉は上出来だったのだが虫が付いてしまいほぼ全滅した。そのため栄一の父親は雨の中、藍を信州に買いに行った。
次の日栄一も買い付けに行きたいと母親に迫った。
姉はまだはやいと思っていたのだが母親は彼女の勘に従い栄一を一人で商いに行かせることにした。
栄一は藍を買う父の姿が大好きで、父のようになりたいと思っていたのだった。
買い付けは成功し栄一は父親にも初めて認められた。
ところで数年前罪人としてこの地に連れてこられた砲術家の高島秋帆さんが釈放され、江戸で役職についた。
それはこ将軍が病気になり、水戸の徳川斉昭を頼るように命じたことが関係しているようだ。斉昭は重職に命じられ、幕府に大砲も献上した。
このころ黒船が天下を騒がしていた。そのための起用でもあったと思うが、ついに将軍家慶は亡くなる。
その後の将軍たちは国家の一大事を乗り越えられるような人物ではなかった。斉昭の実の息子で家慶の養子の慶喜も将軍になるのをあまり望んではいなかったようだ。
国を守ろうと必死で上京した斉昭は肩透かしを食った形になった。そこで斉昭は慶喜によい家来が必要だと考えたのだ。
そして選ばれたのは・・・
このように世の中は目まぐるしく動いていた。砲術家の高島さんが牢にいるとき、会いにきた栄一のことを覚えていた。
そして栄一とその時交わした言葉が自分の支えになったと語り、
さらに「これからは国のために身を捧げるつもりだ。お前も励め」
と農民で商人である栄一に言葉をかけ江戸へ向かったのだった。その言葉を思い出し、栄一も国のために頑張るぞと心を引き締めるのだった。
江戸末期、そして明治初期のころには、日の本の国のために、全身で励み外国と戦おうという人々の姿が数多く見られた。
彼らが今の日本の政治家や民衆をみたらきっとびっくりするにちがいない。国を心から思い、愛する者たちを容易にみいだすことができないなあと言って悲しむかもしれない。
とはいえ今も昔も民衆は一生懸命生きていると思う。