ヒュッレムの軌跡4 アレクサンドラがダンスを披露すると・・・

 「どう?クリミアから来た泥棒の娘は?よいしつけができてるの?」と母后は聞いた。

「頭がよさそうですが、とても獰猛ですが、吸収力はとても速いです。毒気のあるシャープさを持っています」ダイェが答えた。

「私たちには頭が良いことではなく、しつけのよくできた者が必要なのよ」

とダイェに言うと、

ハティジェは

「うつくしい娘だわ」と答えた。

「美しさは失われるわ。今までに何人もの美人を見てきたわ。でも今はみな土の中よ」と言った。

確かに美しさは年と共に消えるが、ふるまいの良さや、性質の良さは死んでからも残るものだ。

そこへスンビュルがやってきた。ジャフェルアーを処罰することを知らせた。

すると母后はイブラヒムと一緒に今晩の宴会に娘を選ぶようにと命じた。

そのころニギャールは奴隷たちにお辞儀の仕方を教えていた。それを窓からイブラヒムがみていた。そしてアレクサンドラが目に留まった。ススンビュルがギリシャ正教の司祭の娘だというと、彼女とマリアを準備させよとスンビュルに命じた。

(え!そうだったんだ。スレイマンに選んだのはイブラヒムだったのだ。)後にこのアレクサンドラはイブラヒムの強敵となるにも知らずに・・・

 選ばれた二人はさっそく準備を始めた。その準備は入念なもので、みんなはダンスをスレイマンの前で披露した。

(皆は認められてもらうと必死だ。そんな彼女たちを見ているとなんだか切なくなると同時に皇帝に対して少し憤りも感じるが・・・)

みんなで始まったダンスだったが、次にアレクサンドラが1人で踊りだした。そして踊り終わるとスレイマンは紫のハンカチを彼女に投げた。

その意味を彼女はその時わからなかった。明日の晩スレイマンい招待されたという意味だそうだ。

スレイマンに選ばれたと知って喜んだ。

こうしてアレクサンドラはニギャールがアドバイスした通り、 このサライでトップになるための第一歩を踏み出した。

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