ミフリマーフ誕生にヒュッレムは オスマン帝国外伝シーズン1
ヒュッレムはお産した。目が覚めると
ヒュッレムは「皇子はどこなの?」とギュルニハルに聞いた。
「ここにメフメトがいるわ」と答えると、「私からぬすんだの?」と唐突なことを言う。そこでギュルニハルは「今赤ちゃんの準備をしているのよ、ヒュッレム。助産婦が連れて行ったけれど、すぐにもどるわ。あなたは難産だったのよ」と答えた。(このころギュルニハルはヒュッレムのことをまだ呼び捨てにしていた。ギュルニハルはヒュッレムの同郷の女性で、ヒュッレムと共にイスタンブールに奴隷として連れてこられた女奴隷だった。)
ヒュッレムはとがめるように
「なぜ彼らに渡したの、ずっと私のそばに置かなければならないのに」と言った。ヒュッレムは不安でならなかった。皇子に何かするのではないかといつも警戒しているのだ。
「マリヤ、あなたは愚かだわ。彼を見に行かなければ」といって立ち上がろうとしたので、「待って私が連れてくるわ」
とまりやことギュルニハルは言った。
そこでヒュッレムは「私を皇子から誰も引き離すことはできないわ!」(ベニ シェフザデムデン キムセ アイラマズ)と言ったが、実は・・・
ギュルニハルは複雑な表情になった。
マヒデブランのところにギュルシャーが嬉しそうに入ってきた。
「女の子です。女の子を産みました」というと、
マヒデブランが「神に感謝します」といって喜び金をみんなに配るように命じた。
このころ皇子を産まない女奴隷は無用の長物とみなされていた。
するとニギャ―ルが赤ちゃんを抱えて笑顔で入ってきた。
「こんにちは(メルハバ)」と嬉しそうに赤ちゃんを抱こうと手を伸ばすヒュッレム。
だっこすると「私のむすこよ、私の命、私の獅子よ、私の皇子」といいながらと微笑みかけた。
するとニギャールが
「ヒュッレム様、おめでとうございます。玉のような女の子をお産みになりました」と言いにくそうに言った。
突然ヒュッレムは眉間にしわを寄せ
「なに!」と言った。
そして女の子であることを確かめると
「いいえありえない、これは私の子供ではない。連れて行って、息子を渡しなさい」
「ヒュッレム、この子はあなたの娘ヨ、そんなことを言ってはいけないわ」とギュルニハルが言うが、
「息子を盗んだのね。私の皇子を殺したのね」と怒り始めた。するとニギャールが「ヒュッレムさま、そんなことはありませんよ、気がおかしくなったのですか?」と心配すると、
「この宮殿ではどんなことでも起こるわ!」と怒鳴った。
このころニギャールはヒュッレムのことをまだ
ヒュッレム・ハートゥンと呼んでいた。ハートゥンとはさんといういみだ。
そこへ母后が入ってきた。そして女の子をうれしそうに抱いた。
女奴隷たちの間では
「女の子だったそうね。お産が始まるとき、皇子を絶対産むわと叫んでいたけれど、もし皇子を産んだならヒュッレムをだで求めることはできなかったでしょう。スルタンとして私たちの上にのしあがるところだったわ」と少し嘲笑したような、安心したような口調で言った。
そこへギュルシャーが入ってきて金を女奴隷たちに配った。
ヒュッレムと言えば
「母后様申し訳ありません。男の子ではありませんでした」
「神がお望みになったことですよ、善きことですわ」と微笑みながら子供の誕生を素直に喜んで
「月のかけらのようなお顔だこと。気にのような子の子に私が名前を付けるわ、この子の名はミフリマーフよ。名前のように太陽と月が彼女の未来を照らしますように。光かがやくように」といった。
(そうだったんですね。ミフリマーフの名付け親は母だったんですね。)
だがヒュッレムは神妙な様子で、「皇帝様はなんとおっしゃるでしょう」と心配していた。
「何も言わないわ。今遠征にいっているよ。彼が戻るまでこの子の名前がないままでおくというの?!さあ、母乳を」と言ってミフリマーフをギュルニハルに渡した。
ダイェもお祝いの言葉を述べたが、ヒュッレムはすごく悲しそうに
「1人にして、娘もつれていって」と叫んだ。
「でもおなかがすいているわ」というと、
「乳母にあげさせて」と冷たい態度をとった。ヒュッレムはム攻めのことより皇帝になんと言い訳すればよいかを考えながら横になった。
なんとまあ。 でもヒュッレムの心配をよそにスレイマン皇帝はその後
ヒュッレムが冷遇したこのミフリマーフを、こよなく愛した。
母后が言った言葉の中で「すべては神がお決めになったことで善きことである」という考え方は当時だけでなく今日のトルコではよく浸透している考え方の一つだ。
一見その時は良いことに見えないことでも実はよいことだったりすることがよく合う。ミフリマーフの誕生もそうだった。もしミフリマーフが男だったら寿命を全うできたかどうかわからないから・・・