ヒュッレムの軌跡3 突然倒れスレイマンとささやくアレクサンドラ
スレイマン女官たち居所の真ん中にある廊下を通他った時、みんなは急いで整列しお辞儀をしなければならない。
ところが一人の女奴隷が突然頭を上げ「スレイマン皇帝」と叫んだ。
それはアレクサンドラだった。
皇帝が立ち止まると一瞬その場の空気が凍り付いた。なえならこれは決してしてはいけないことだったからだ。
その後スレイマンは彼女のそばに寄って、彼女を見つめた。その瞬間アレクサンドラはスレイマンめがけて倒れた。これはもちろん計画的だった。何とかして彼の気をひこうと懸命だ。
でもそれだけではなく、もっといけないことを彼女はした。
「スレイマン」とささやいたのだ。
何がいけないかというと、当時皇帝の名前を呼んではいけなかった。
皇子の頃でこそ、母后がスレイマンとは呼んだが、皇帝になってからは彼は本名で呼ばれたことが一度もなかった。
そのため彼は強い印象を受けた。
そのあともすごくおかしい。アレクサンドラはスレイマンの腕の中で気絶したのだ。(いやたぶん気絶ふりをした)
スレイマンは「彼女の世話をせよ」と命じ急いで去った。だが少し慌てていたようだ。
だがその後アレクサンドラは大変なことになった。ダイェとスンビュルにはばれていたのだ。そして大目玉をくっらた。
そして思い罰をあたえられることになった。
でもアレクサンドラは一向に気にしていなかった。
それどころか
「彼はハンサムね!」とマリヤに話すのだった。
するとマリヤは「わざとでしょう?」と言った。
きっと今晩私は呼ばれるわと夢見心地にアレクサンドラは言った。
(なんとも夢想好きというか大胆というか、やっぱ普通じゃなかったんだ。)
その後お辞儀の仕方のレッスンがあった。
その時教えていたギュルアーは、アレクサンドラに何を今日学んだか?と質問した。
すると彼女は
「禁止、禁止、禁止よ」と答えた。
確かにそうだといって禁止事項を言い始めた。
騒ぐことは禁止
見ることは禁止
陰口は禁止
命令に従わないことは禁止
男性は禁止
と伝えたところで、みんなが顔を見合わせた。
ギュルアーは男だからだ。そこへスンビュルも来た。二人とも男性なのになぜいるのか皆にはわからなかった。
そこでニギャールが
「かれらは男でないわ」と答えた。
皆は困惑した様子だった。
どう見ても男性でしょうとアレクサンドラが突っ込むと
「彼らは去勢されているのよ」と答えたので、みんなは笑い始めた。
そこで笑っているのを見たギュルアーは、すぐに女奴隷たちのところへ戻って、
「何を笑っているのだい!さあ鋏をもって仕立ての授業へ、さあついてきて」と言った。
するとさらにみんなはくすくすと笑った。
何故ならギュルアーが手で鋏の形のジェスチャーをしたからだ。ちょっと前にニギャールも同じしぐさをしたのだった。
裏切りや、陥れやなどのどろどろの闘争だけでなく、最初の頃のシーンでは皆が笑う場面も時々見られたのだった。
ヒュッレムは大胆だと思うけれど、そうでもしないとのし上がられないのも事実だろう。他の人たちと同じことをしていては、這い上がれないのだ。アレクサンドラは初めからみんなとはかなり違っていた。ハレムでトップに立つための第一歩は皇帝の目に留まることだ。それをアレクサンドラは確実にやってのけた。率直に答えるあたりも、人と歯少し違っていた。
これらの資質によって彼女はトップの座へと導かれたのかもしれない。