ヒュッレムの軌跡5 オスマン帝国外伝シーズン1

アレクサンドラの元へダイェが来てすぐに夜の準備をするようにと怒鳴った。

選ばれた者が素敵なドレスを着たり髪を整えたりするのだった。

アレクサンドラは白い衣装に白いアクセサリーを身に着けた。

そして出かける前に白十字架のネックレスを両手に挟み、指を組んでお祈りを始めた。アレクサンドラはもともと司祭の娘で、教会にいるときタタール人たちに襲われたのだった。

彼女は敬虔なギリシャ正教徒だったのだ。

祈りが終わると自分のベッドの布団の間に大事そうに隠した。

ここはオスマンの宮殿なので、彼らはギリシャ正教徒たちの祈り方とは違った祈り方をしていた。このとき小姓頭だったイブラヒムももとはギリシャ正教徒だった。

環境が変えられただけでなく、信仰さえも隠れて持ち続けなければならないのだ。内面まで自由にならない奴隷は本当に不憫だ。

スレイマンの私室ではスレイマンがアレクサンドラを待っていた。 

いよいよアレクサンドラはスンビュルに連れられて黄金の道を歩いてきた。

「今晩運命が変わるかもしれない。皇帝様にきにいられるような賢くなりなさい」とスンビュルに注意を受けながら、皇帝の部屋に向かった。

それを聞くと彼女も嬉しそうに微笑んだ。

そうなのだ。彼女は最高のチャンスをつかんだのだ!彼女は高揚した状態で部屋の前までやってきた。

だがそこにはギュルシャーがいて、こっちを見ていた。

何か悪い予感が・・・

このギュルシャーは後にヒュッレムの忠臣になって ニギャールに殺されたけれども、この時はマヒデブランの付き人だった。

さあ、いよいよスレイマンがアレクサンドラを迎える瞬間が来た。

待ちきれないようにそわそわした感じ、扉を見つめていた。

そしてついに扉が開いた。

スレイマンの視線の先に現れたのは赤いドレスをみにつけたマヒデブランだった。

思わず唾をのむスレイマン。

どうしてこんなことが・・・

これは母后の計らいだった。彼女がアレクサンドラを阻止したのだった。

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