ホタルを見たことありますか？Sen Hiç Ateşböceği Gördü mü ホタルは彼女の希望であり現実だった

ネットフリックス制作の映画です。ネットフリックスの次作の作品は、トルコチックではない部分も多いのですが、この作品は
「恋の片道切符」に続くトルコ・オリジナル作品第３番目となります。
脚本は有名な俳優でもある　イルマズ・アルドアン（エルドアン）
さんが手掛けました。

初めてこの作品が世に出たのは１９９９年の劇場です。当時この劇は２５０回以上も上演され、１００万の観客を動員し、ロングセラーになりました。
数年後　映画となりました。制作はBKMです。その映画が今回ネットフリックスで４月９日から上映されています。
 

監督　アンダチュ　アズネダルオールAndaç Haznedaroğlu
脚本　イルマズ　アルドアン（エルドアン）

キャスト
エジェム　エルケク　Ecem Erkek （ギュルセレン役）
エンギン　アルカン　Engin Alkan（ナジフ）ギュルセレンの父役）
デヴリム　ヤクート　Devrim Yakut（イジュラル）ギュルセレンの母役）
メルヴェ　ディズダン　Merve Dizdar（イッゼト）ギュルセレンのおば役）
ウスハン　チャクル　Ushan Çakır　（ハズィム役）
ボラ　アッカシュ　Bora Akkaş （ヴェリ役）
アフメト　ルファト　シュンガル　Ahmet Rifat Şungar（デュンダル役ギュルセレンの恋人）
アタカン　チェリク（Atakan Çelik) レポーター

内容・感想
１９５１年１１月うまれのギュルセレン。この映画はホタルがキーワードです。
彼女が生まれたときに叔母が初めて彼女の生家でホタルを見たそうです。その時からずっとギュルセレンはホタルに・・・

ホタルはトルコ語でAteşböceği アテシュボジェイと呼ばれています。
アテシュは火、ボジェキböcekは虫という意味で、ドラマの中でホタル好きの彼女の性格は蛍に関係しており、この火という言葉に絡めて導師が彼女の精神が病んでいる判定したシーンがあります。
これは悪魔は火から造られているという考えに元づいていて、蛍も火から造られていると導師は言います。
火からつくられたホタルは人に良くない影響を与えるというわけですが、これは少しおかしいですね。
ホタルが光る理由は、いくつかあります。主にオスが強く光るのですが、（ゲンジホタルの場合）これはメスへの求婚のためで、他にも、ホタルを刺激した場合、ホタルが敵を認識して敵を驚かせる場合矢仲間に居場所を知らせる場合等があります。

懐中電灯をあてるのはたぶん刺激を与えるためでしょう。

今は日本ではホタルを見る機会はとても減りましたが、遠い昔私も裏山で見たことがあります。
あんな美しい光景をしれば導師の考えも変わったのではと思いますね。
話を元に戻しましょう。

この作品はギュルセレンの一生をある若者に彼女自身がインタビューされて答えるという形で進んでいきます。レポートは彼女の秘められた能力（４桁の暗算）をネットでUPするために行われました。
その時彼女が大事そうに手にしていたのは、過去の思い出のつまったアルバムでした。

最初若者はつまらさそうに聞いていたのですが、次第に彼女の話にのめりこんでいき、最後には彼女ととても親しくなったようです。
その若者との別れのシーンは美しいです！ここでもホタルが見え隠れします。

彼女の生きた時代は２０世紀後半から現在までですが、そのころトルコでは約１０年ごとに政変が起こっていました。
日本と違って、政変前の大統領たちは死刑にされたりします。
映画でも共産主義の叔父の逮捕され最終的には北欧へ逃亡しましたし、近所のヴェリ共産主義のメンバーにピストルで撃たれて亡くなりました。
もうひとりの伯父は熱心に現政権を指示する敬虔な信者でしたが、現政権による誤認逮捕がきっかけで、現実に失望し真の神を探しに家をで出ました。
そして彼女が最もこの世で愛したと思われる父親は事業に失敗し失意のうちに亡くなります。その時もホタルが・・・
さらに彼女の初めての恋の相手は兵役中訓練で亡くなるといった具合に彼女の人生が淡々と描かれていきます。

そして年おいた５０才の彼女は、ホタルを見ることができなくなっていました。
ホタルは見えなくなった理由は家の周りがにぎやかになったり、家の中でもテレビという騒々しい代物があるからと彼女は思い、テレビを壊します。
それから喧噪な街中へ懐中電灯をもってホタルを探しに出かけますが、彼女がホタルを見つけることはできず、彼女は絶望します。
その後もたぶん彼女はホタルのことを思いつつ、探し続けたことでしょう。でも見つからなかったようですね。
ラストシーンでは彼女の願いがかなったようです・・・光景が素晴らしく美しかったです。
それを見つめるあの若者の優しそうな眼も印象的でしたね。

この映画でホタルは何を意味しているのでしょうか。
それはそれを探し続ける彼女の希望であり現実でもあったのだと思います。
 

またホタルが住みにくくなった世の中の意味することは何かという問いを私たちに投げかけているようにも思いました。

ということで、ホタルは美しく、素晴らしく儚い存在ですが、皆さんもコロナがおさまったらぜひホタルを見にお出かけください。
ホタルの見える場所は以下です。
ホテル椿山荘東京【東京都文京区関口2-10-8　地下鉄有楽町線江戸川橋駅1a出口より徒歩約10分】
万葉公園【神奈川県足柄下郡湯河原町宮上566　JR湯河原駅よりバスで10分、落合橋より徒歩6分】
いすみ市山田川周辺 源氏ぼたるの里【千葉県いすみ市山田川周辺　JR大原駅より車で20分、またはいすみ鉄道上総東駅より徒歩30分】
ロマンの森共和国【千葉県君津市豊英659-1　館山道君津ICより25分】

ホタルウォッチング【岩手県小岩井農場　岩手県交通バス小岩井農場まきば園バス停よりすぐまたは東北自動車道盛岡ICより約15分岩手県岩手郡雫石町丸谷地36-1】
日光だいや川公園ホタル観賞会【栃木県日光だいや川公園　日光宇都宮道路今市ICよりR121、県西大規模公園線経由10分】
花見ほたる祭り【長野県池田町　花見ほたるの里　長野自動車道 安曇野ICより20分　】
岩室温泉　冬妻ほたる祭り【新潟県新潟市西蒲区　岩室温泉　JR越後線岩室駅より約8分】
ほたるの夕べ【静岡県伊豆市修善寺（赤蛙公園）修善寺駅より修善寺温泉バス停下車、赤蛙公園まで徒歩