新・オスマン帝国外伝 ~影の女帝キョセム~ 登場人物 『キョセム』
ドラマのキョセムのあらまし
キョセムを演じたのは3人の女優さんだ。
日本でもベレンサートさんはドラマ『アティエ』で知られている。
キョセムはどんな時代にいきたのだろう?
1600年代のオスマン帝国はヒュッレムからはじまった女たちの帝国への支配の力が強くなっていった時代だ。
その中で最も長期にわたり帝国に強い影響力を持った人物がキョセムだった。
半ばさらわれるように帝都に連れてこられたキョセム(当時はアナスタシア)は最ハレムになじめず逃げ出そうとばかりしていた。
さらにハンダン母后やサフィエ前母后にもにらまれ、つらい状況の中で過ごしていた。
彼女の転機は子供たちを授かったことで訪れた。
彼女は生涯を子供たちのために費やし、子供たちを守るために戦おうとした。
そん夫のアフメト皇帝がなくなった。悲しむ間もなくキョセムはこれからのことを考えなければならなかった。
彼女は誰も死なせたくなかった。そのために皇帝の弟たちを殺すというルールを書き換えたのだ。
そのためアフメト皇帝の弟ムスタファが皇帝につくことに・・・
それを根に持ったのが腹違いの息子オスマンだった。
このころからオスマンとキョセムには溝ができ始め、長男のメフメト殺害に至ってキョセムはオスマンと決裂した。
そのすきを狙ってハリメ妃が息子ムスタファを再度皇帝につかせた。
キョセムは左遷された。
それからがハリメ妃との戦いが始まった。
それに打ち勝ちムラトを皇帝につかせた。
だがムラト皇帝が成長するにつれて、母キョセムを目障りと感じるようになる。
カシムを皇帝にと推したために、カシムは死亡し、イブラヒムも精神を病んでしまう。
キョセムは完全に政治から手を引くことになった。(ように見えた)
ムラト皇帝死後イブラヒム皇帝を擁立するが、彼ジンジホジャの言いなりになって帝国は傾く。
孫を皇帝にし、国を立て直そうとしたが、トルハン妃の裏切りでまたもや左遷される。
数年後 そのトルハン妃がイブラヒム皇帝の横暴さを伝え、皇帝を変えてほしいと頼みに来る。
そこで一度復帰を図ろうとするが、
オスマン帝国史でもその名をとどろかせたキョプルル・メフメト・パシャとメフメト4世の母に負け、非業の最後を遂げる。
3人の女優さんたちの演技
初期のころをアナスタシアさんが、中期をベレン・サートさんが演じている。
アナスタシアさんはたどたどしいトルコ語がとてもキュートで初々しさが印象的だった。
ベレンサートさんのキョセムはしっかりとした母親と夫に尽くし守ろうとする良き妻だった。しかしアフメト皇帝の死後、キョセムは急激に変わっていく。その変化するキョセムの葛藤を率直に表現していた。
シーズン2ではニュルギュルさんが帝国への謀反や成長したムラト皇帝とのいざこざや妃たちや息子たちの問題に明け暮れ笑うことのない壮・老年期のキョセムの憂いを見事に演じていた。
キョセムの感想
キョセムが宮殿に連れてこられた時は、家に戻りたいといって悲しむのだが、その後たくましく成長していく。
ほかの妃とのいざこざも大変なことだろうに、彼女は実の母を亡くしたオスマンを我が子と同様に、いやそれ以上にいつくしみ育てた。
キョセムの一生を見てその点が一番心に残った。
というのも手塩に育てたはずのオスマンに実の子メフメトを 殺されてしまったのだ。
これほどつらいことはないだろう。
メフメトもオスマンも心から愛していたのに・・・
子供というものは時に親の本当の愛を勘違いし、捻じ曲げてとらえてしまう。
キョセムにしてみれば息子が息子を殺したという感じだったのだ。
彼女は血のつながりを重要視していなかったのに、子供たちは違った。
誤解から悲劇が起こってしまったのだ。できればこの悲しみだけはキョセムに経験してほしくなかったと心から思う。
そしてどんな小さな誤解でも決してそのままにしておいてはいけない。その都度その都度慎重に誠意をもって解こうとしなければいけないんだなあとあらためて感じた。