ムラト皇帝は弟カシムを部屋に閉じ込めた。それを知った母キョセムは彼を自由にしてくれとたのむが、皇帝の意志は固かった。皇帝は 誰も彼にあってはいけない とまで命じたのだった。 兄弟たちも頼みに行くが話を聞く前に断られた。 カシムは病のムスタファ伯父と共にいる。でもなぜ同じ部屋に入れるんだろう。あれだけ広い宮殿なのだから、別々でもいいのに。ムスタファ伯父と一緒ではきっとカシムの気もいつかはくるってしまうだろう。 その昔ムスタファ伯父をムラト皇帝の父アフメトが とじ込めたのだったが、彼は自由にした。その後ムスタファは後継者となりアフメトの子オスマンを処刑した。 そののちキョセムがムラトを皇帝にし、ムスタファをこの部屋に閉じ込めた。 因果応報、今度はキョセムが子供をとじ込められた母親のつらい思いをする番になった。 キョセムはケマンケシュに頼んでどうにかカシムにドア越しに話しをさせてもらった。キョセムは自分の無力さを感じ、めまいがした。彼女の心の傷はあまりにも深かった。 自分の実の息子が自分の実の息子を幽閉したのだから・・・ キョセムの問題はそれだけではなかった。ファルヤ王女のことだった。彼女は身ごもった。これはハレムに大きな衝撃を与えた。キョセムは週産後子供はハレムで育てるがファルヤ王女は子供のそばにはいさせないように取り計らうつもりだ。 イリヤスはペルシャの使節団の者と接触し、まだイスタンブルに残っていた。それを突き止めたエヴリヤチェレビはさっそく皇帝に伝えに行った。 未然に反乱を防ぐことができるのだろうか? 次へ