ゼイネプたちは写真をとった。メレクがたまたまゼイネプの隣になったが、彼女はすぐにたって場所から離れて反対側へ移動した。 こんな風にメレクの態度は相変わらずだった。 「ピクニックをしましょう」とゼイネプがいうと、メレクはよろこんだが、シューレは反対し、手を洗いうために席を外した。 その間にメレクはゼイネプとふたりきりになった。ゼイネプは用意してきた食べ物を並べて、メレクに呼びかけた。最初 「トゥルナ」と呼んだが、応答がなかったので「メレク」と呼び直した。するとメレクは反応した。ゼイネプにとってのトゥルナは目の前にはいなかった。彼女はメレクだった。 でもメレクは本当にトゥルナをわすれてしまったのだろうか? それでもゼイネプは心のうちを率直に話し始めた。 「あなたをとても愛したわ。これからも愛するわ。一緒に過ごせなくてもあなたは私の心にいつもいることでしょう。これはこれからもかわらないわ」と言うと、メレクはとても切ない表情をした。 それから続けた。「あのときあなたは私のことをママと呼んだわね。私はその時あなたのママになったのよ。これから先あなたがママと呼ばなくても、このことは変わらないわ。あなたは私の娘よ。私はあなたのママよ。決して忘れないわ。あなたは私の命よ、命なの」と言った。 その言葉を聞いてメレクは泣きそうになった。そこへちょうどシューレがやってきて、 「すぐに食べていこうね」と言ったので、 二人のつかの間の会話は終わった。会話というか一方的にゼイネプが話ていただけだけれど、 メレクの心には何かが響いたようだった。 ゼイネプがあまりにも切なすぎる。